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vol.389-1(2008年2月20日発行)

岡崎 満義 /ジャーナリスト
18歳プロ錦織圭選手の快挙

 このところ、ハイティーンの少年少女たちの活躍が目覚しい。国内のみならず、海外でも臆することなく、実力を発揮している。フィギュアスケートの浅田真央、ゴルフの石川遼、そしてテニスの錦織圭(にしこり けい)。プロ野球でも日ハムの中田翔が大物ルーキーぶりで、スプリング・キャンプの話題をかっさらっている。

 テニスの錦織選手は18歳1ヶ月で世界ツアー(米デルレービーチ国際選手権)で初優勝。史上2番目の若さだという。世界ランク12位のブレークを破ったのだから素晴らしい。日本で唯一人、ツアー優勝を経験している松岡修造さんも「その才能はぼくを超えている。やがて世界のトップ10に入ろうか、というレベルの天賦の才だ」と将来性に太鼓判をおしている。

 5歳でテニスを始め、11歳のとき、松岡修造さんのコーチを受けている。中学生になると、アメリカのIMGアカデミーへテニス留学した。世界中から集まる若い才能と競い合って、大きく成長したようだ。

 2月19日付朝日新聞によれば「留学は、日本テニス協会の盛田正明会長が私財を投じて創設した、有望選手を育成するための基金が後押しした。10人ほどがこの基金を利用してきたが、ついに実った形だ。『日本の中学、高校の部活動は個性を大事に育ててくれるように思えなかった』。父親の清志さんはテニス留学を決めた理由の一つをそう話す」。

 錦織清志さんは、いじめや暴力問題も珍しくない上下関係のきびしい中・高の部活動、スポーツも教育の一貫とする考え方に、息苦しさを感じて、息子をアメリカへ送り出したのだろう。体育は教育だが、スポーツはいい意味での「遊び」だ、という考え方は、日本の中でまだ主流になってはいない。

 日本文化研究のために東京の郊外の町に住んだ若いフランス人女性が「日本の少年院はとても開放的だ。毎日、同じトレーナーを着た丸坊主の少年たちの集団が、町の中を掛け声をかけながら走っている」と、ある座談会で発言し、同席した日本人学者から「あの町には少年院はない。それは多分、中学か高校の運動クラブの部活の練習だ」と、訂正されていたのを読んだことがある。外国人の目には、日本人の集団性、規律性は、そんなふうに映るようだ。

 2月18日付日刊スポーツに「“少年サッカーのオシム”教え子10万人― ジェフ千葉普及コーチ池上正さん」という紹介記事が出ていた。

 「サッカーや、野球などの少年スポーツ、そして家庭や学校教育に至るまで、子どもたちはコーチや親、先生たちの過度の干渉の中で育っているのではないか、と池上さんは危惧を抱いている。『コーチや親や先生たちが、あまりにも子どもにかかわりすぎて、自分で考える機会を奪っていると思うんです。だから、ボクは、子どもたちがまず、自分で考える機会をつくるようにしています』・・・教えすぎない、干渉しない。子どもに考えさせることで、教えすぎるよりも、サッカーがうまくなることを体験した」。

 池上さんのような柔らか頭の指導者も、ぼつぼつ出てきたのだ。大人が変わらなければ、子どもも大きく育たない。イビチャ・オシム前日本代表監督の指導を間近に見て、池上さんは自分の教育法に確信をもった、という。おもしろい時代になってきた。日本の教育はスポーツから変わっていく、というふうになればうれしい。

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