スポーツの秋を迎えた9月に入り、テニスシーズンが始まった。テニスの聖地、有明テニスの森公園では、16日に東レパン・パシフィック・テニス(東レPPOテニス)が開幕(21日まで開催)。昨年まで1月の全豪オープン後の2月開催だったが、国際女子テニス協会(WTA)のツアーカレンダー再編に伴い、冬から秋開催に移行。その初年となる今年は、すでに数年前から春から秋に移行していたAIGジャパンオープン開催(9月29日〜10月5日)の2週前という時期に行われることになった。ちなみに、その間の週にある9月23日(秋分の日)はテニスの日となっている。 1984年に大会が創設され、今年で25回目の記念大会を迎えた東レは、2年前に賞金総額が134万ドルに増額され、四大大会、チャンピオンシップスに次ぐグレードのティアT大会(世界で9大会)の一つである。アジアでは日本とカタールの2カ国で開催されており、ほかには米国で3大会、ドイツ、イタリア、カナダ、そして東レ後の10月にロシアで行われている。 WTAではパワーテニス全盛時代に突入したここ数年、トップ選手の負傷、故障が相次ぎ、大会欠場が目立つようになっていた。その状況を受け、当事者である選手の間で問題視していた大会スケジュールの過密日程を改編しようとする動きが本格化。一昨年頃からオフシーズンをこれまでよりも長め(8週〜10週)に取れるように、ツアーカレンダーの再編成作業に取り組み、賞金大会グレードや大会数の見直しに着手した。昨年が62大会、今年は60大会が年間大会数だが、来年からは一気に約55大会(開催未確定の大会もあるため)に減り、最終戦のチャンピオンシップスを10月最後の週に、そして国別対抗戦フェドカップ決勝をその翌週に行うことになった。 テニス関係者は「女子ではグランドスラム(四大大会)の翌週には大きな大会を組み込まず、トップ選手を過密スケジュールや怪我から守り、休ませるカレンダーにした。今後、トップ選手は四大大会と高額の賞金大会に集中して出場できるようになるだろう。ツアーカレンダーの再編は大改革だが、実際に実行してみないと良し悪しは分からない」と見ている。 東レPPOテニス主催者は「WTAの世界戦略の一環」としてのツアーカレンダー再編について一定の理解を示しているが、開催時期の移行による室内大会(東京体育館)から屋外大会(有明コロシアム)への変更や開催場所の確保、運営方法の大幅な変化にかなりの労力を費やしたようだ。雨天の場合の試合会場および練習コートの確保もその一つ。また、有明テニスの森公園内にある広場の活用にも「カフェ的なもので東レPPOテニスらしさを出したい」と意気込む。
装いを新たにする東レPPOテニスでは新しい試みにも挑戦。それが、すでに四大大会をはじめ世界各地の大会で行われている自動ライン判定システムの導入だ。このシステムには約2500万円の経費がかかるとか。このように、東京体育館というコンパクトな室内大会だった時よりも経費が膨むが、会場の規模が大きくなったことをプラスに転じさせようと、大会関係者は「2007年の入場者は5万3000人強でしたので、有明で行う今年は6万人ほどの目標入場者数を目指したい」と話していた。 |