平成14年のPGA(日本プロゴルフ協会)主催のプロテスト(男子)最終テストは9月5日に愛知県の春日井CC東コースで行われ、215ストローク(-1)迄の41位タイ52名が合格した。しかし、今回、4Rを雨で中止したことは理解に苦しむ。 合格者をカテゴリー別で見ると、1番多かったのは研修会による推薦者で41名が合格した。2番目はアマチュア競技成績による推薦者の6名。3番目は各種連盟に加盟していないコースや練習場の研修者で、2名が合格。他に2次選考会からの出場者、高校・大学ゴルフ部在席経験者、研修会推薦又は各地区予選等で資格を得られなかった研修生が各1名である。 今回は最終テストに残った142名の内、研修会による推薦者が圧倒的に多かった。また、合格者も、研修会による推薦者が圧倒的に多く、全体の84%を占めている。 プロテスト合格者は、プロゴルファーとしての仕事ができる、いわば、資格テストだ。他に、「プロ宣言」して、プロとして生活している人もいるが、PGAのプロテストでは、PGAの会員となり、JGTO(日本ゴルフツアー機構)主催のクォリファイングトーナメントの受験資格も得られる。 ここまで書けば、一見して簡単に思えるが、最終プロテストまでにかかる受験料は、一説では100万円近い(旅費・宿泊費含め)といわれる。この他、PGAから分離独立したJGTOのクォリファイングトーナメントを受けて最終テストまで残ると、こちらは約60万円近い経費となる。仮に、今年のプロ合格者が、クォリファイングトーナメントの最終戦まで行くと、合格するのに160万円以上のお金がかかることになる。 「賞金が稼げる身なのだから安い投資だ。」という声が聞こえるが月額5万円で働く研修生達にとっては3年分の収入である。とても安い投資とは言えない。仮に、「安い投資」と言えど、初年で新人プロが2,000万円近く稼ぎ、次のシード権がとれる保証はない。前例として、沖縄から受験した宮里聖志の場合は、9月下旬にシード権をとったが、他の新人プロは、賞金にもありつけなかった。 もっとも「実力次第で、夢のある世界」ではある。だが、地獄が待つ世界でもある。日本では、かつて、尾崎将司(ジャンボ)が新人プロでデビューして、翌年5勝をあげた。今日のタイガー・ウッズを思わせるデビューだった。 中嶋常幸や倉本昌弘もそれに似ている。だが、ジャンボや中嶋の時も、プロ入りして半年間は研修生(プロの)という身で、トーナメントに出場できないシステムだった。 では、今日はどうかというと、やはり、12月のクォリファイングトーナメント最終戦まで、ツアーに出られない。むしろ、今日の方が、別のツアーテストを受けることになり、お金も、体もかかり、酷な状況にある。本来なら、PGA会員になった次の週から、成績トップ3名にツアー参加が許されるなど、新人デビューを早めてやれば、波に乗って、そのままツアーの世界に入って行けるが、残念ながらこの2つの団体は犬猿の仲で話し合おうとしない。 これでは新人プロは育たない。早く1本化するか、プロテスト合格者成績トップ3名の救済を、JGTOが受け入れるかしない限り、話題にもならない。この2つの団体、「本音は受験料欲しさ」とも言われ、新人育成など、頭から考えていないようで、利益団体に思えてならない。 新人育成のためにも、至急、大改造が必要である。 |