団体球技の国内リーグは、レギュラーシーズンの上位チームが争う決勝ラウンドやプレーオフの真っ最中だ。そんな中、バレーボールのVリーグで指揮をとる2人の外国人監督から同じような不満を聞いた。
男子の3位決定戦に勝利したJTのパルシン監督は、決勝ラウンドの現行方式を強く非難した。JTはレギュラーラウンド2位だったが、決勝ラウンドは1〜4位の総当たりリーグ戦を行った後、2チームが優勝決定戦に進む。JTはリーグ戦のセット率で3位決定戦に回り、松下電器に勝って最終的に3位に終わったのだ。
パルシン監督はレギュラーラウンドの順位が加味されていないことを問題視しながら、こう付け加えた。 「なぜ決勝ラウンドは東京(さいたまスーパーアリーナ)と大阪(大阪市中央体育館)が会場なんだ。我々は不利に感じる」
JTは広島市に本拠地を置く。移動の疲れも考えると、東京や大阪のチームに比べて不利と考えるのも無理はない。 もう1人は、女子パイオニアのセリンジャー監督だ。決勝ラウンドが始まる前の記者会見ではこんな話をした。
「どうして東京でしか試合をしないのか。ここはNECのホームじゃないか。我々は22勝5敗で1位だ。その成績が決勝ラウンドではなぜチャラにされるのか」
パイオニアは山形県天童市が本拠地だが、決勝ラウンドのリーグ戦は東京体育館のみでの開催。優勝決定戦も川崎市のとどろきアリーナだ。NECはレギュラーラウンド2位。東京を本拠地とするライバルチームに有利ではないか、という指摘だった。
日本協会の関係者にこの問題を尋ねると、「1年前から会場を押さえないと日程が組めないんですよ。ホームでやりたいと言われても、なかなか難しいのが現状です」。観客動員や報道陣の数を考えても、東京や大阪での開催が無難ではある。
ここに「実業団リーグ」のカベがあるのかも知れない。決勝ラウンドをホーム・アンド・アウエー方式でやるのなら、全チームが数千人を収容できるホームコートをそろえなければならなくなる。Vリーグでは、来季から各チームのホームゲームを増やす計画というが、「地域密着」とお題目のように唱えるだけでは不十分だ。そこには、地元の人たちが溶け込める「環境整備」という大きな課題が立ちはだかる。
もちろん、自前の体育館を新たに建設するのは困難だろう。現実的には公共施設を優先的に利用させてもらう方式を考えるしかない。ただし、税金で建てられた施設を使うには、やはり地元に認められ、愛されていなければならない。地域名を冠することさえ拒む企業が多い中、どれだけのチームがその努力をしているのだろうか。パルシン、サリンジャー両監督の声は、企業に依存してきた日本スポーツへの大いなる問題提起に聞こえる。 |