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第2期スポーツGM講座第2回 左:中澤氏、右:小田氏

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2004年10月20日
第2期スポーツGM講座
第3回
左:中澤氏、右:小田氏

 

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vol.246-2(2005年 4月15日発行)
葉山 洋/マーケティング・コンサルタント

ソニーとFIFAのパートナーシップ

滝口 隆司/毎日新聞運動部
   〜欽ちゃん球団の公式戦デビュー〜
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ソニーとFIFAのパートナーシップ
(葉山 洋/マーケティング・コンサルタント)

 ソニーとFIFAが契約を交わした。

 4月4日、来日したFIFAのゼップ・ブラッター会長はソニーの出井伸之会長と非公開での契約調印式に臨んだ。翌々日の6日にプレス発表されたように、2007年から2014年に至る8年間のパートナー契約は2回のワールドカップを含み、総額3億500万ドルにもなるという。巨額だ。

 FIFAの新マーケティング方針に沿ってパートナー契約を締結したのはアディダス、現代自動車に続いてソニーが3社目だ。注目すべきはアディダス、現代が契約更新であるのに対しソニーが新規スポンサー企業だということ、そしてソニーにとってこのようなビッグなスポンサーシップ・コミットメントは初めてだ、ということだ。

 金額や形態を別にすれば、ソニーがFIFAワールドカップをマーケティングに利用するのは初めてではない。古くは1982年スペイン大会の際、PR戦略として「ペレ・レポート」なるものを実施した。当時ソニーが広告キャラクターとして契約していたペレを起用し、試合の観戦記をソニー提供として世界のメディアに配信したのだ。

 近年でも1998年のフランス大会ではソニー・クリエイティブプロダクツがグローバル・ライセンシング権を獲得、2002年大会の公式楽曲はソニー・ミュージックがプロデュースした。

 今回、このタイミングでソニーがFIFAを、そしてワールドカップをグローバルなマーケティング戦略に選んだことは興味深い。調印に際し出井会長は、「ブランディングに資するという意味で、このパートナーシップは両者にとって理想的だ」と前置きし、「FIFAはサッカーというグローバル・ランゲージを通じ全世界に圧倒的なリーチを有している。これはFIFAならでは強みであり、ソニーが誇るエレキ、エンタテインメント、テクノロジー等の資産がこのパートナーシップから利するところは大きい」と意義を述べた。

 ソニーは業績の低迷、ブランド力の後退からトップマネジメントが責任を取るかたちでの交代を発表したばかりだ。FIFAとのパートナーシップは厳しさを増す経営環境の中で判断された「踏み込んだ」マーケティング投資なのだろう。

 FIFAのパートナー企業枠は6社。凄まじい協賛料金はどう見ればよいのだろう。

 3億500万ドル×6社は18億3000万ドルにのぼるが、4年スパン(ワールドカップ1大会分)では半分の9億1500万ドルだ。2002年日韓大会、2006年ドイツ大会では18社枠の公式スポンサーを想定しているから、同レベルの企業数で協賛料金を算出すると約5000万ドルだ。これなら2006年ドイツ大会やオリンピックのワールドワイド・パートナー(TOP)の協賛金と比較しても「リーズナブル」な範囲に収まっている。

 要は、ワールドカップ及びFIFAのトータルなバリューのシェアに対する考え方である。

 とは言え、スポーツの権利はピザパイを切り分けるように単純ではない。スポーツのバリューは人々の心の中に創られるものであり、バリューのシェアとは心の奪い合いのこと、権利金はそのためのコストなのだ。

 テクノロジーはコンバージェンスを繰り返し、私たち周囲の商品の多機能化、高性能化はとどまるところを知らない。ソニーの契約分野「デジタルライフ」は近未来の技術発展も考慮した幅広いカテゴリーを包含する。だからこそトータルなプロダクトラインを通じてのスポーツマーケティングが可能になる。ノイズも少ないだろう。

 はたして消費者はバリューを認め、積極的にソニー製品を選ぶか? アフリカで、南米で、そして日本で。ソニーのブランド・エクイティがFIFAのバリューを梃にして以前のような燦然たる輝きを取り戻せるのか、全世界が注目している。


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