1月11日、本年度の野球殿堂入り選考結果が発表され、マサカリ投法で有名な村田兆治投手と、西武で日本一の名将、森祇晶氏、野球放送の名アナ、志村正順氏の3氏が選ばれた。 ゲストスピーカーで発表会に出席した、すでに殿堂入りしている、400勝投手、金田正一氏はこう言った。「ワシはなかなか選ばれなかったので、毎年今度はいつか、とジリジリしとった」あれだけ偉大な実績を残したカネやんでも落選4回、1988年に4位で入選した。 当時の記録を調べると、有効投票223票中金田氏は188票。長島茂雄、別当薫、西本幸雄氏に次ぐ4位。有効投票の75%以上の規定(168票)を20票上回る、やっとの当選だった。 この前後の年は「該当者ナシ」が多く、毎年見送られたため、2年連続ナシ、になった前年の1987年に「5人連記から10人連記」に拡大された。この年、一気に4人が当選したのも、制度改正が大きい。これ以後「該当者ナシ」の年は1998年の1回しかない。 村田氏は3回目で、森氏は2回目の当選。早く殿堂できる人は時代の背景と運がないとチャンスが来ない。選考に当たる報道関係委員は「15年以上の取材経験を持つ人」と、されているが、新聞社を定年退職してしまうと、もう投票はできない。私は定年後も新聞社に在籍しているので投票を続けているが、古参の記者はめっきり減った。選考委員の年齢は次第に下がり、その候補者の活躍を覚えている記者が少なくなるほどかつての名選手は投票が減る傾向になる。 今年、谷沢健一(首位打者2回、2062安打)有藤道世(首位打者1回、2057安打)の2人は候補資格10年が過ぎ、もう投票では選ばれない。 アメリカ大リーグでも同じ傾向。記者が知る最近のスターが優先され、この数年は資格1年目当選の連続。昔の名選手は票が減り消えてしまう。 日米とも、消えた選手を救う「特別表彰委員会」があるが、復活しないままの人は少なくない。テレビ、放送でなじみの人は有利、だともいう。 日本では254勝の左腕梶本隆夫(阪急)も今季は10位。109票。だれもが認める実力者が忘れさられないことを。 |