カナダ・テレビ界の2010年冬季オリンピックと12年夏季オリンピック2大会の放送権料が、国際オリンピック委員会(IOC)との間に1億5300万ドル(約161億円)でまとまった。
カナダの放送権料が話題になるのは珍しい。2010年の開催地が同国のバンクーバーに決まっているからだ。 契約にこぎつけたのは民放のカナダテレビ(CTV)を主軸とした複合メディア。これまで優位を保ってきた公共放送のカナダ放送協会(CBC)の条件を押しのけてのもの、と言われる。
CBCは、来年のトリノ冬季大会の放送権を北京と合わせて手にしており、今回も“継続”出来るのではないかと見られていたが敗れた。 CTVなどの契約で注目されるのは、12年夏季(開催地は今年7月に決定)の6300万ドルより、バンクーバー冬季の金額が2700万ドル多い9000万ドル、となったことだ。
時差のない地元開催は、テレビ界にとり、これ以上ない好条件だが、夏季大会を上回るとは考えられなかった。 1998年長野冬季のとき、日本の放送界(ジャパンコンソーシアム、JC)は3750万ドル。その前後の96年アトランタ夏季9950万ドル、2000年のシドニー夏季1億3500万ドルに比べて長野は低い。
カナダにおけるウィンタースポーツへの関心の高さを示す、とも言えるが、今後の冬と夏の放送権料交渉に少なからず影響しよう。 CTVなどの2大会合計額1億5300万ドルはCBCの06年(トリノ冬季)と08年(北京)合計額よりも約110%増で、これから交渉が行われる日本(JCの予定)を揺さぶろう。
2大会の放送権は、すでにアメリカはNBCが22億ドル(10年冬季8億2000万、12年夏季11億8000万)の驚異的な額で決めており、ヨーロッパ放送連合(EBU)も、推定7億2000万ドルで合意に達している。
日本は、トリノ冬季と北京合計で2億1850万ドルに収めた金額を、どの程度の上積みで抑えられるか。夏季だけで2億ドル超は避けられない、とも言われるが、JC内の調整は進んでいない。総ての面で難航を予想できる―。 |