恒例となったラグビーの国際トーナメントが開幕した(5月25,29日、東京)。 いわゆる冠大会、スポンサータイトル付きの大会など実現の難しかったこの世界だが、いま、国内のラグビーシーンに必要なのは、多彩な選択肢だ。 よくも悪くも、伝統の大学チームがからみあう“対抗戦”を主軸に、球史は廻ってきた。 そのために、内容豊かなトップリーグでさえ、“伝統”をしのぐ活況を得られず悩んでいる。 国際試合にも、フアンの選り好みは激しい。言が過ぎるかもしれないが、日本代表とそこそこの実力を備えるチームとのマッチメークより、北半球5強や南半球3強に粉砕されたほうが「ラグビーの真ずいに触れた」と納得するフアンが多いのだ。 18年前にワールドカップ(4年おき開催)が始まったことで、さすがに佳き時代を謳歌してばかりはいられなくなった。 しかも、6年後の第7回大会を日本に招致しようとしているのである。 国際競技力を高める場を広げ、同時に集客力を増すのは急務となった。 この2点が整えられないかぎり、ワールドカップのホストなどおこがましい、とする声が少なくないのは、いかにもラグビー界らしいのだが、現代のスポーツの消長は、国際舞台での活躍がカギを握っている。 本来は、国内チームの実力と人気が基盤になって代表チームへの関心と支援が強まるべきであろうが、そこまでの時間がない。 国内での国際試合を増やし、旧来のフアンの目を広げ、新たなフアンを開拓するのが、当面、最善の手であろう。 日本ラグビーフットボール協会も、このあたりを読み、6月にはアイルランド代表、8月にはイングランドの名門ニューカッスル・ファルコンズの来日をすでに発表している。 協会や競技者の姿勢は大きく転換している。フアンの側の変革も、そろそろ本格化してよい頃である。どのシリーズも、スタンドの熱気を期待していたい―。 |