「中越地震」や「7・13水害」からの復興を最優先するため、新潟県が新潟市内に2008年までに建設を予定していた野球場の計画が遅れそうだ、と言う。 スポーツ施設の充実は嬉しいが、現状からすれば“後廻し”が当然だろう。 この動きで、球場開きに、とされていたプロ野球のオールスターゲームとフレッシュオールスターの開催が返上され、日本野球機構も了承した(8月1日)。 ともすれば、復興と合せて球場の建設を進めてこそ、地元の人たちの励みにも、楽しみにも、といった論調が聞えることになる。極めて常識的な線が打ち出された。 スポーツが、社会や地域とともに歩むとはこうした“行動”でもあろう。 新潟県立の野球場は、建設にあたって多くのアイデアを集めていた。 この球場をホームとするベースボールクラブを発足させ、その資金の一助に、プロ野球公式戦を招いて収益を図る、といった工夫の席に参加させてもらったことがある。 クラブは、硬式をトップに、軟式、少年、女子などこれまでにない“総合型”がイメージされスタンド下の空間の多目的利用も研究していた。 いずれは、球場が完成し、アイデアのいくつかも実現されるだろう。その日を楽しみにしていたい。 スポーツ施設は、建設の構想と併行して、運営−経営の綿密な計画を必要とする時代だ。 全国には、なぜこの地に、この施設がと思わす例が数多い。そして生じる“あと利用問題”である。 その一方で、多目的という美名の施設は、どのスポーツでも使いにくく、見にくい(観戦しにくい)ケースがしばしば、だ。 採算上、客席の数が第一義となってしまい、観客への配慮に乏しいスポーツイベントも相変らずだ。 豪華だけを自慢するよりも、中・小規模ながら、そのスポーツの醍醐味を「する、見る」両面で実感できる専用施設が欲しい。 例えば−2011年・ワールドカップラグビーの招致運動の一環として(=今秋11月18日に成否が決まる予定)、東京・秩父宮と並ぶラグビー専用スタジアムの建設を期待できぬものか。 ワールドカップ仕様の規模を望むのではなく、招致のモニュメント的な発想を全国展開できたら素晴しかろう―。 |