ケンブリッジ大学を迎えての日本・イングランド大学対抗ラグビーは、日本側(関東学院、法政、早稲田)の完勝に終った。 本格的なシーズン開幕を飾るシリーズにしては、味気ない凡戦ばかりで失望したが、“大学ラグビー”を考える上では、それなりのテーマがあるような気がする。 4校ともチーム力はまだ調整段階、シーズンの深まりとともに戦力をひき上げていく“慣習”からすれば、見る側も物足りなさに理解を示すべきだろうが、日本のカレンダーはトップリーグによって、へき頭からビッグカードが並ぶ時代を迎えている。大学界も旧態を引きずってばかりでは居られまい。 ケンブリッジ大学は、主力を故障で欠いていたと言われ、ここも、シーズンの焦点は12月のオックスフォード大学戦。1872年(明治5年)から、この1戦のために総てがあるような伝統の姿勢は動かし難い。日本での試合に多くを期待するのは難しいが、親善・交歓とともに、互いのレベルアップという目的が薄れては、このシリーズのブランド価値を低くしてしまうことになりはしないか。 いわゆるプロ化の波は、ケンブリッジ、オックスフォードなど名門校にも容赦なく襲っており、名実ともに大学ラグビーが国内最高峰ではなくなっている現実を目(ま)のあたりにした感じだ。 2011年にワールドカップを迎えようとする日本も、トップリーグ中心の展開になり始めている。 東京で言えば、秩父宮ラグビー場で毎週、「大学」を見られるわけではなくなった。 トップリーグの迫力に「ラグビーを感じる」ことになれば、フアンの流れは、自ずとその方向を定めよう。 すでに多くのスポーツは、この経過をたどり、大学スポーツの活気は、限られたスポーツの限られたカードにのぞける程度である。 大学ラグビーが元気な姿を保ちつづければ、ほかのスポーツに刺激を与えることが可能だろう。新しいアイディアももちろん欠かせない。 アイスホッケーなど、トップリーグと大学の試合を同日会場で組み込んでみてはどうかとシーズンが訪れるたびに考えるのだが、組織のカベが立ちはだかるのか、試みられない。 OB、OGの郷愁に囲まれるだけではなく、大学スポーツのあすを考える時は、とうに来ている―。 |