メジャーリーグ・デビルレイズによる野茂英雄、ホワイトソックスによる高津臣吾両投手の戦力外通告は、アメリカのプロスポーツビジネス、に共通した“割り切りかた”だ。ヨーロッパのサッカーマーケットも同じ感覚にある(7月16、18日)。 人間を商品視して経営側の独断で振りまわす姿勢と行動は、日本のスポーツ観には、なかなかなじめぬものだが、ベースボール、サッカーに限らず多くのスポーツで活躍のステージを海外に求める日本人アスリートが増えている時代。このあたりも折りこんで見つめていなければならない。 球団側も選手も、リーグまでを含めてそれが「プロ意識」と言うものだろう。日本のプロ・ベースボールが大揺れしたのは1年前だ。 刷新が叫ばれ、改革が求められたが、セ・パ両リーグの交流戦実現が、ささやかな“産物”、オーナー会議(7月19日)でドラフトでの希望選手枠(旧・自由獲得枠)を1人〜現行2人〜とする“暫定改革”をまとめたもののプロ球界一体となって放送権などマーケティング進めるなどの展望は相変らず、戦力均衡の掛け声も高くならない。 ジャイアンツ戦のテレビ視聴率低下も、昨今のジャイアンツ不人気によるものと片づけ、それどころか「いずれジャイアンツが強くなれば・・・」のムードさえただよう。ドラフトの新案で、高校生と社会人・学生を分けて選択するのはジャイアンツ有利だとの声が早くもとぶが、他球団は黙っているつもりだろうか。 デビルレイズが、球団経営の負担となる高給選手を放出するのは、1球団の事情に留らず、リーグ全体の運営に安定をもたらすものなのだ。 このあたりの発想が、日本のスポーツとは決定的に異なる。 それは“自立”を忘れ、つねに、どこかにすがって育ち、組織、リーグの経営をあと廻しにしてきた欠点とも言えよう。 選手側はとっくに、こうした世界の流れを受け止め、悲壮感や除外感は少ない。 Jリーグ・三浦和良(カズ)選手がFC横浜入りするのも、当人、フアンともども前向きの結果だ。 三ツ沢に沸きおこるであろう大歓声は現代のスポーツ賛歌ではないか―。 |