「大相撲」人気のカーブが、下がる一方で今年も過ぎた。 無敵の横綱が、ますます安定感を増し、風格を備えていく姿は、本来なら喝采(かっさい)を浴びてよいのだが、どうも“逆効果”だ。 横綱にまったく責任はない。低迷の原因は総て、周囲の不甲斐なさにある。 伯仲の展開を望めなくてはプロスポーツとして“失格”であろう。フアンの目は鋭く正しい。ハナから対抗する勢力がもろくては、スポーツの楽しさを味わえない。観客席が埋まらず、テレビ視聴率が低迷するのは当然だ。 「大相撲」に限らず、最近のプロスポーツは醍醐味に欠ける。 組織の未熟だの、マネージメントの欠落だのと言うが、何よりも、競技者たちの力がそのスポーツの最高の味を持ち合わせていないのである。 女子プロゴルフの活況は、お目当ての選手が、激しい争いの末に期待に応えることで甦った。 立ちふさがる壁もなく、すんなりとスターが勝ちつづけては、やがて、その繰り返しに誰も飽きてくる。 プロスポーツは、フアンのそうした身勝手さも糧(かて)にしなければならない。 大学スポーツを、同じレベルで語るのはどうかと思うが、「早明ラグビー」がすっかり精彩を欠いてしまったのは、両校の力の差があまりにも開いたからだ。 プロスポーツとは異なり、「早明戦」はどのような状態であれ「早明戦」でありつづけられるハズなのだが、そのようには運ばなくなってしまった。 大学スポーツは、次々と往時の熱気を手離し“学生のイベント”としての看板は、いまやほとんど掲げられていない。 「早明戦」は、最後の砦(とりで)ともいえる存在だったが、このまま崩れ落ちてしまうのだろうか。 スポーツ全般に関心が薄らぎはじめているような気にさせた1年だ。 散発的な盛り上がりはのぞけるものの、冷めたトーンを塗り替えるまでには至らない。 トリノ冬季オリンピック、ワールドベースボールクラシック、FIFAワールドカップ。 来年上半期に予想される熱気を、日本のスポーツ界はどう活かすか、期待より気がかりな年の暮れ、である―。 |