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vol.259-1(2005年 7月13日発行)
岡崎 満義
/ジャーナリスト
清原選手を見る楽しさ
杉山 茂/スポーツプロデューサー
〜現代に対応した伝統の「近代5種」〜
佐藤 次郎/スポーツライター
〜ブブカ氏に続け〜
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清原選手を見る楽しさ
(
岡崎 満義
/ジャーナリスト)
“無冠の帝王”清原選手が7月8日の広島戦で、通算510本目のホームランを放った。歴代5位の落合と並ぶ素晴らしい記録だ。これまで一度もホームラン王のタイトルを取っていないのが、ふしぎだ。ずば抜けて死球が多いことと、関係があるのかもしれない。
PL学園1年生のときから、桑田・清原コンビで野球ファンを沸かせて20年を過ぎる。随分、楽しませてもらった。KKは投手と打者、頭脳派にして見た目も陰にしてクールな桑田に対して、肉体派で陽にしてウェットな清原と、すべて対照的。しかも巨人入団を希望していた清原はフラれ、桑田が巨人入り、涙の西武入団となったが、FAで清原が巨人入りして、またチームメートとなった。ONとはまた違った、こういうライバル関係を見るのも、ふしぎな面白さがる。
2人がプロ野球に入って3年目だったか、別々にインタビューしたことがある。桑田は、こちらが何を聞きたいかを直感的に読みとって、的をはずすことなくキチンと話す。実に分かりやすく、説得力があった。反対に清原は、自分の感じていることが的確に表現できなくて、ずっともどかしい思いを抱きつづけているように思えた。
6、7年前、春のキャンプのとき、清原は取材に来たスポーツ記者に対して「わし禁止令」を告げた。「スポーツ紙に私のコメントが載るとき、決まって“わしは・・・”と書かれるが、自分のことを“わし”といったことは一度もない。“わし”と書かないようにしてもらいたい」と注文をつけた。
“わし”という1人称の響きが、いかにも倣岸不遜に聞こえるのを気にしてのことだろう。“わし”が似合うのは、天皇と言われた金田正一さんくらいのものだ、という気持ちだったかもしれない。誰だって、自分のことは正しく理解してほしい。“わし”という自称は、意外にナイーブな清原自身が考える清原像とは、大きくかけはなれるものなのだ。スポーツ紙はその後しばらく、主語抜きのコメントを載せていた。
その後も一時期、格闘家についてハードなトレーニングをして、マッチョな筋肉マン指向を見せた。そして今、ピアスを耳に光らせる。言葉とは別のやり方、清原流の自己表現である。
だから、清原は分かりやすい。テレビ映像を見ても、喜怒哀楽がそのまま伝わってくる。清原がもっとも尊敬する落合のポーカーフェイスとは,まるで違う表情だ。スポーツ選手に言葉なんか要らない、と言っているようだ。
スポーツに「たら、れば」は無用のことだが、清原にはFAのとき阪神タイガースを選んでくれていたら、と今でも思う。巨人オーナーに屈辱的な言葉を吐かれることもなかったであろう。何よりも、清原には甲子園が良く似合う。清原は甲子園の申し子である。甲子園で見せた少年清原の迫力を、今の清原にダブらせて見ている自分に気付く。
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