スポーツデザイン研究所
topページへ
topページへ
講演情報へ
オリジナルコラムへ
SPORTS ADVANTAGE
   「批評性」「評論性」「文化性」の視点からスポーツの核心に迫る
最新GALLARY

第11回世界水泳選手権大会モントリオール2005 50m平泳ぎ準決勝 北島康介(JPN)


(C)photo kishimoto


第11回世界水泳選手権大会
モントリオール2005
50m平泳ぎ準決勝
北島康介(JPN)

SPORTS IMPACT
  オリジナルGALLERY
(C)photo kishimoto
vol.261-1(2005年 7月27日発行)
岡崎 満義/ジャーナリスト

片山、その美しい四股

佐藤 次郎/スポーツライター
  〜オールスターの勘違い〜
市川 一夫/スポーツライター
  〜フェアウエーをキープできるか―ボールの行方を注目〜
滝口 隆司/毎日新聞運動部
  〜波紋を呼んだインテルの英国遠征〜
筆者プロフィール
バックナンバーリスト
SPORTS ADVANTAGE
無料購読お申し込み
オリジナルコラムを中心に当サイトの更新情報、スポーツ関連講座やシンポジウム開催情報などを無料配信しています。今すぐご登録下さい。
申し込みはこちらから
ホームよりエントリー
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望
エントリーは下記リンクより、氏名配信先アドレス男女都道府県別年齢所属を記入の上メールして下さい
片山、その美しい四股
岡崎 満義/ジャーナリスト)

 名古屋場所は朝青龍が2敗したことで、終盤もつれて優勝争いは面白かったが、怪我人が続出したのは興ざめだった。ほんとうはサポーターや絆創膏、包帯姿も見たくないのだが、裸でぶつかりあう格闘技だから仕方がないかもしれない。公傷制度もなくなったことでもあり、力士の健康管理は最新のスポーツ医学をもとに、本格的に取り組むべき課題であろう。体重管理とトレーニング法、食事、つまりは力士の生活全体を分析、改善していく必要があるのではないか。そういえば、昔、横綱・輪島はよく走っていた。

 今場所の楽しみのひとつは、片山の美しい四股であった。先場所あたりから話題になりはじめたが、テレビも意識して片山の四股をうつしてくれた。

 土俵に上がって水をつけるときに1回、中央で相手と最初にまみえるときに1回、都合2回、高々と四股を踏む。足がまっすぐよく伸びる。爪先が垂直に天を向く。フィギュアスケートのビールマンスピン、鉄棒の大車輪に匹敵する美しさだと思う。

 のびのび成長した1本の木が、凛として立ち、微風にサワサワ葉をふるわせているような風景を連想する。

 これだけ足がよく伸び、真上に上がる四股は初めて見るような気がする。相撲の世界に入門すると、怪我を防ぐためにも、まず股割りというきびしい柔軟体操を課せられる。下半身の関節、とくに股関節をやわらかくするのだ。大男たちが両足を180度ひろげてペタンと坐り、上半身を地面にすりつける姿にはびっくりする。ハワイ出身の高見山(東関親方)がこの股割りで大粒の涙を流したことは伝説になっている。

 四股は相撲の基本中の基本だから、誰もが毎日踏む。それでも、片山ほど美しい四股を踏む力士はいない。片山は毎日、よほど時間をかけて、意識して四股を踏んでいるのだろう。

 土俵上のパフォーマンスもさまざまだ。かつての水戸泉の掌いっぱい山盛りシオ撒き(今は北桜)、高見盛のロボット風気合の入れ方、朝青龍のにらみ・・・。もっとも、相撲は勝ってなんぼの世界だから、強くないとパフォーマンスは影がうすくなる。

 今場所、片山は前半はまずまずの勝星を上げたが、後半は大崩れして7連敗、結局4勝11敗で終った。敗けがこみはじめると、折角の美しい四股も感激度が落ちてくる。あれだけ美しい四股が踏めるのだから、もう少し下半身の粘りがあってもよさそうなものを、とついつい愚痴っぽくなる。われながら見る側は勝手なものだ、と思う。

 片山が強くなって、幕内上位に進出してくれば、美しい四股はさらに注目を集めるだろう。力強く美しい相撲を、水をつけるところから勝負がつくまで、土俵上でくりひろげてほしい、と願っている。


Copyright (C) Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。 →ご利用条件