ことしも相変わらずだった。プロ野球のオールスターゲームのことだ。松坂VS清原の「力勝負」なるものをこんなにもてはやすのは、もうやめにしたらどうなのか。
いくらストレートが速いといっても、真っすぐしか来ないとわかっていれば、プロの一流打者はちゃんと打ち返す。どっちに軍配が上がるにしろ、力まかせにストレートを投げ、それを待ち構えていて強引にフルスイングするなどという対戦は、およそ真剣勝負ともいえないようなものである。なのに、いつのころからか、オールスターでは速球投手が長距離打者にストレート一本の勝負を挑むのが「お約束」になってしまった。おかしなことと言わねばならない。だから、通常の試合でも、チャンスにストレートで勝負しないと言って文句をつけるような、なんともお粗末な一幕が起きるのだ。
ピッチャーの側としても、ストレート一本を宣言するのなら、それでみごとに抑えてみせなければ、わざわざそんなことにこだわる意味がない。プロの投手たるもの、結果的に打たれてしまえば、中身はどうあれ、ただの負けにすぎないのである。どっちにしろ、事前に真っすぐだけとわかっている勝負など、当人同士の遊びのようなものではないか。
投げる側は、けっして逃げずに、持っている力のすべてを駆使して相手を打ち取りにいく。打つ方は、そのベストピッチを精魂こめて打ち返そうとする。それが本当の真っ向勝負、名勝負というものだ。力勝負の「力」とは、力まかせということではなく、それぞれの傑出した力を出し切るという意味なのである。
そのことだけでなく、日本のオールスターはいまひとつエキサイティングではない。もちろんお祭りでもあり、いつも通りの全力プレーというわけにはいかないのだろうが、それでも随所にスターならではの輝きがほしいところだ。それがなければオールスターの意味がないだろう。
たしかに舞台は華やかだ。だが、中身はどうも仲間うちのお遊び的なものにとどまっている感じがする。選手たちは、スターの名にふさわしい技と誇りを観客たちに見せるのだという思いを忘れないでほしい。そうしないと、このイベントはしだいに輝きを失っていく。
もうひとつ、選手を投票で選ぶファンの側も考えねばいけない。そのシーズンのベストの選手に投票するのが本当のファンというものだろう。実際の結果がそうなっていないところにも、オールスターが面白くない原因がありそうだ。
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