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vol.240-1(2005年 3月 2日発行)
杉山 茂/スポーツプロデューサー


不調からはい出せるか「ノルディック」



岡崎 満義/ジャーナリスト
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不調からはい出せるか「ノルディック」
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 先週(2月27日)終幕した世界ノルディックスキー選手権(ドイツ・オーベルストドルフ)で、日本勢は完敗してしまった。

 3競技19種目に入賞者を1人も出すことができず、伝統のジャンプも、新星登場を期待した複合も精彩を欠いた。来年のトリノ冬季オリンピックに続いて、この大会の次回(07年2月)は、札幌市での開催が決まっており、強化策の見直しは緊急課題だ。

 “敗因”はいろいろあろうが、衆目が一致するのは新旧交代の遅れである。

 キャリアを欠かせぬスポーツだけに、ベテランの力と技が捨て難くなるのも分かるが、新鋭の“売り出し”をためらっている状況ではなかろう。

 といって、ヒーロー、ヒロインが彗星的に出現する可能性を待つほど第一線層の厚みがあるわけでもない。

 ジャンプ勢は、これまでも“低空飛行”のシーズンはあったが、90年代以降の世界選手権(7回)、オリンピック(4回)では、悪くても14位以内にまとめ、メダルを逃しても上位を確保できた。

 今回は最高のランクが個人では18位、団体では9位に落ち込んだのだから深刻すぎる。

 来年までの短い期間では、常識的には再建は難しい。距離は高橋大斗に重荷がかかる、かかりすぎる。

 札幌大会も、このままでは厳しい。距離での女子陣の成長と札幌ドームをスタート、フィニッシュにする種目の設定が話題になるくらいでは、せっかくのビッグイベントも寂しいものに終わってしまいそうだ。

 女子フィギュアスケートに代表されるほかのウィンタースポーツは活況をのぞかせているだけに「ノルディック」の沈滞は、“置き去り”にされてしまう不安がある。

 トリノで上昇のきっかけをつかみ、札幌で世界上位への復活をなんとか果たせぬものか。

 北ヨーロッパにおける絶大な人気で「ノルディック」は、テレビスポーツとしてのパワーを備えてきた。

 今回も、距離競技には58台もの中継カメラが投入され、競技方式の工夫もあって“見るスポーツ”“見せるスポーツ”の度合いをいちだんと深めている。

 「マラソンよりはるかにスリリングだ」とはヨーロッパ放送関係者の言葉だが、その妙味のなかに日本人選手がからめば、国内での“人気”も高まろう。なおさらニュースターが待ち遠しい―。


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