各スポーツで女性陣の勢いが目立つなか、華(はな)ともいえるテニスは、杉山愛のどちらかといえば“孤軍奮闘”で支えられてきた。 その杉山も、世界ランキングで占めていた日本選手トップの座をついに浅越しのぶに譲った。4月12日に発表された順位で、浅越22位、杉山24位と変り、フランス・オープン(5月)に始まる本格的な国際シーズンで、浅越が“エース格”となるのか、興味深い。 杉山が、伊達公子引退後、女子テニスを引っ張りつづけて9シーズン近くになる。 それだけの年月は、さすがの彼女にも、目に見えぬ疲れとなって、先シーズン痛めた左足首の故障回復が遅れ、今シーズンは冴えを欠いている。順位の後退はやむを得ない。 このあと、どこまで復調し、再びトップテン近くに返り咲くか、期待もかけたいが、この機に、若手が進出する“新時代”への芽が伸びるか、も大きな楽しみである。 内外ともに、女子テニス界は、全盛を誇った選手の僅かなきっかけで、次の幕が開くケースが多い。 杉山を追い、追い抜いた浅越も、ベテランといってよいキャリアだ。 ここ1、2年で、一気にトップゾーンが若々しい力で彩られる可能性は充分ある。 ファンは気ままで、スターの円熟を望む一方、どこかに新星の登場を待ちわびる。 女子ゴルフは、2人の若いスターが飛び出したことで、かつてない活気を呼び、メディアも、格別扱いだ。 伊達−沢松奈生子−杉山−浅越とつづいた女子テニスも、新鮮な風が吹きこめば、新旧対立の図式から、やがて新ヒロインがスタンドにファンの足を誘うことになる。幸いに、全日本選手権(昨年11月)に14才でベストエイト入りした森田あゆみや、中村藍子など新鋭に逸材が多い。 杉山が、世界のトップクラスの実力を確保しているうちに、なんとか後続が、世界ランク50位あたりまで勝ち上がってこないものか。 そうなれば、女子テニスも、各スポーツをしのぐ花ざかりとなるに違いない―。 |