かつて学生スポーツは、四季の訪れを告げる風物詩でもあった。 なかでも、東京・隅田川でのボートレース「早慶レガッタ」は、代表的なイベントといえ、人気を集めたものだ。 そのレースが、第1回(1905年=明治38年)以来ちょうど100年となり、久々に話題の花が咲いた(4月17日)。 50年代、10もの橋をくぐる6000mの長丁場(今年は3000m)で争われた頃は、橋の上や沿岸は鈴なりの人で賑わい、クルーの漕力を占う「土手評」などといった洒落た言葉も生まれたが、水質汚染や護岸工事などで川を離れ、一気にイベントへの興味も遠のいた。 70年代後半「隅田川がかなりきれいになった」との評判をともなって、伝統のコースへ戻ってきたが、学生スポーツ全般の冷えこみと時を一(いつ)にした感じで、盛況の復活とはならず、メディアの関心は薄いままで過ぎた。 100年、の重みで、今年のレースは、例年より注目度は高く、関係者の声もはずんでいたが、来年以降の活況、ましてや学生スポーツ“復興”への火口になるかとなれば、正直なところ、心もとない。 学生スポーツの大きな切り札は“季節感”だ。 新春の大学駅伝(東京−箱根往復)が、あれほどの見物人を集めるのも、ラグビーやアメリカンフットボールの盛り上がりも“季”をとらえていることと無関係ではない。 これをサンプルに夏のウォーターポロやダイビング、秋のサッカーやホッケー・・・。ナイトゲームで日程を組めるなら、日本リーグや社会人スポーツとは異なった魅力を発揮できるのではないか。 ところでボート。歴史の古さがためか「するスポーツ」の域に留まりすぎてはいないか。 「早慶レガッタ」は、今年は2万人を越える人出、とされたが、過去の資料などを見ると「両岸には10万人を越す大観衆が・・・」などといった記述もある。「見る」面白さを備えているのだ。 ピクニック気分のキャッチフレーズはベースボールの外野席より、はるかにボートが似合う。 常設のボートコースでイベントを定着させ、季節を味わえるような「見せる」工夫をこらせば、ファミリー時代に新たな展開を期待できよう。今夏8月には岐阜(長良川)で世界ボート選手権が開かれる。その華やかな雰囲気もスポーツを支える大きな要素だ―。 |