ドイツで開かれているサッカー・コンフェデレーションズカップでベストフォアに勝ち残っていたメキシコが、アルゼンチンとの準決勝(6月26日)を前に、2人の選手の登録を取り消した。 大会前、メキシコ協会によるドーピング検査で陽性の反応が出たため、と言う。 ドーピング(禁止薬物の使用)の違反は、内外ともにあらゆる機会を通じ絶滅が呼びかけられている。それにも拘らずアトを絶たない。 誤解を恐れず書けば、スーパースターの違反でもないかぎり、ニュース性さえ薄れてしまった。 だが、サッカー界での、となれば“事情”は少々違ってくる。選手の有名、無名を問わず報道の扱いが変わる。 国際サッカー連盟(FIFA)が、国際オリンピック委員会(IOC)や世界アンチドーピング機構(WADA)の規定に反発し、対立の様相を深めているからだ。 最大の論点は「出場停止期間」。FIFAは、IOCとWADAが定めている「2年間」を重いとし、個々のケースで独自に判断するとしている。 昨年のアテネ・オリンピックを前に同様の主張をつづける国際自転車競技連盟(UCI)とFIFAは間際までIOC、WADAとにらみ合っていた。
(VOL.202−2004/6/2 参照) 今回もFIFAが科すペナルティは「6ヶ月の出場停止」だろうと言われる。 顔をしかめるIOCやWADAの役員の表情が目に浮かぶ。 FIFAにしてみれば「2年間」は、選手ばかりでなく協会にもリーグにもリーグにもクラブにも痛すぎる。経営を揺るがしかねない問題にも及ぶ。 といって、IOCは、規定を守らなければオリンピックに参加させない、と強気には出られない。大会屈指の人気競技なのだ。 マスコミが色めきたつのも、こうした背景への関心である。 メキシコ選手をどう処分するか、それしだいで「オリンピックとサッカー」の間が再び揺れることになる。 国内でも日本アンチドーピング機構(JADA)のメンバーに日本サッカー協会(JFA)は加わっていない。 再三の話し合いで、“解決”の糸口が見えるまでにはなるのだが、そのサキへ進まないのである。JFAの姿勢はFIFAを見てのものだ。 Jリーグを含め、サッカー界のアンチドーピングへの取り組みは極めて高いのだが―。 |