8月21日に閉幕した第23回ユニバシアード(トルコ・イズミル)で、日本はかつてない勢いを示した。 サッカー男子が3連覇したのをはじめ、体操、レスリング女子、競泳などで連日のように優勝や上位入賞を飾り、国内でも地味な存在のフェンシングの男子団体が38年ぶりで栄冠を手にするなど、目を見はらされる成果もあった。38年前といえば1967年の東京大会だ。 金メダル18個はロシア26個、中国21個についでウクライナと同数の3位タイ、メダル総数では56個(金、銀各18、銅20)になり、ロシアの65個についで2位、関係者が沸くのもムリはない。1年前のアテネ・オリンピック効果とも思える。 ユニバシアードは参加者が学生中心、競技数も12競技195種目と小規模で、マスコミの関心度はけして高くない。 今回も、大会の序盤は世界陸上競技選手権(フィンランド・ヘルシンキ)の日程とぶつかっていた。 だが、いわゆる「クラブ」が掛け声の割にはなかなか拡充しない日本にとって、学生スポーツの活況は、大会の水準とは関係なく意味がある。 “快挙”のフェンシングが、北京オリンピック(08年8月)へのはずみにしたい、とするように、大きな目標への通過点に位置づけられる。 問題は、企業のスポーツ活動が縮少され、学生アスリートたちの受け皿が乏しくなっている現実である。 オリンピックや世界選手権で、上位の実力を示すには、いまや、フルタイムの強化環境が整えられていなければ、成功は覚束(おぼつか)ない。 ユニバシアードとオリンピックを関連づけるのは、国際スポーツシーンでは、あまり見られなくなったルートだが、日本独自の強化ラインとして、今回の好成績は1つのきっかけにはなる。 ユニバシアード世代の競技者の成長、円熟を企業にすがるのではなく、日本オリンピック委員会自体が強化に力を貸し、スポンサーなどを斡旋するようなアイデアもあっていい。 もっとも、ユニバシアードは独自の理念に彩られたイベント、国際競技力向上の一環に組みこむのはナンセンス、とするなら、それも見識だ。 メダルの数だけでイズミル大会を総括するのではなく、新たな学生スポーツ、大学スポーツを論議するならば、「56個」の重みは、さらにふくらもう―。 |