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vol.245-1(2005年 4月 6日発行)
滝口 隆司/毎日新聞運動部

疑問の多いバスケットのプロ化構想


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疑問の多いバスケットのプロ化構想
滝口 隆司/毎日新聞運動部)

 日本バスケットボール協会のプロ化検討実行委員会が、2007年秋の開幕を目指して男子のプロリーグを設立する案を発表した。
 
 この構想は、日本リーグ機構(JBL)に加盟する新潟アルビレックスとさいたまブロンコスが昨年、リーグからの脱退を表明し、新たなプロリーグ「bjリーグ」を立ち上げたことに端を発する。日本協会とJBLは両チームにリーグ残留を説得し、05年3月末までに日本協会主導のプロ化構想を発表するとの意向を示していた。その案が3月31日にまとまったというわけだ。
 
 日本協会の公式ホームページに掲載された案(抜粋版)を読むと、具体的なのは@07年秋開幕A最低8チーム以上Bすべてのプロパティ(名称、ロゴマーク、エンブレム、肖像権等)はリーグが一括管理し、利益をチームに還元する――といった点ぐらいしかない。「日本バスケットボール協会が認定する、国内最上位のプロリーグ」「日本バスケットボール協会が認定する、国内唯一のプロリーグ」と謳っているが、今年11月に開幕するbjリーグとの関係をどうするのか、明確な説明はない。日本協会の管轄外という扱いなのだろう。
 
 ところで、問題は企業スポーツをどうするのか、という点に踏み込んでいないことにある。プロ化した場合、現存の企業チームはすべて親企業から独立し、会社化するのか。それとも別の方式を採用するのか。もしJBLの中でプロリーグに参画しないチームが出た場合、下部リーグに降格させるのか。それで「国内最上位」を維持できるのか。日本の様々な団体球技がプロ化したくてもできないのは、企業依存の仕組みから抜け出せないからだ。構想はその核心部分に触れておらず、現実味に欠ける。
 
 サッカー・Jリーグの場合、クラブ名に企業名を付けることを禁じ、地域名を冠することを徹底させる思い切った策を打ち出したからこそ、「地域密着」の考えの下で新たなファン層が生まれてプロリーグが成り立った。企業チーム中心のバスケット界にそれだけの覚悟はあるのだろうか。現在のスーパーリーグ設立時もJBLは「地域密着」を標ぼうしたが、企業名を外せない中で地域色をどこまで出せているかは、甚だ疑問だ。
 
 リーグが放映権やマーケティング権を一括管理し、利益を各チームに配分するといっても、リーグに利益が出なければ各チームが共倒れになる。チームの親企業に赤字補填をしてもらう体質が続けば、プロとしては失敗だろう。野球の「四国アイランドリーグ」はリーグが会社、各チームは営業部門という方式をとっているが、あくまで規模の小さい独立リーグの話。国内最高のプロリーグを名乗るならば、基本的には各チームの独立採算制とし、それにリーグからの分配金を加えて共存共栄を図るのが妥当だ。新潟とさいたまが脱退を表明したのも、クラブチームが独自に稼げるシステムがなかったからだ。
 
 構想にはこんなくだりがある。「プロ化の設定は、今考えられる理想的な形を想定すべきであるが、一挙にその形を作ることは困難」。企業スポーツの問題を根底から論じないと、「検討はしたが、実現は困難」で終わるのではないか、と危惧する。   


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