この人たちを並べてみて、いったい何のメンバーか分かるだろうか。 ▽太田芳枝(21世紀職業財団理事長)▽岡部敬一郎(コスモ石油会長)▽梶原拓(前全国知事会会長、前岐阜県知事)▽鬼追明夫(なにわ共同法律事務所弁護士)▽小嶌典明(大阪大学大学院高等司法研究科教授)▽佐藤行雄(日本国際問題研究所理事長)▽辻晴雄(シャープ相談役)▽張本勲(プロ野球解説者)▽藤原治(電通総研社長)
先日、初会合が行われたプロ野球有識者会議のメンバーなのだ。解説者の張本さんを除けば、「プロ野球とどういう関係?」と聞きたくなる面々だが、主に根来泰周コミッショナーの人選で決まったそうだ。
「この会議に集まっていただいた方は、野球の有識者ではありません。社会全般の有識者として、外部からプロ野球をどう改革するか、意見を頂戴したい」
記者会見で根来コミッショナーはそう切り出し、さらにこう続けた。 「野球界は狭いサークルの中の特別な社会。その中の特別な論理でこれまでやってきたわけです。社会全体が揺れ動いているのに、野球界は取り残されている」
昨年のプロ野球再編問題では「何もしないコミッショナー」と批判を受け続け、辞意も表明した根来氏である。法曹界からプロ野球界に入ってきたが、球界の論理の中で何の手腕もふるえなかったのが実状だろう。
ところが、話を聞いていると辞めるつもりなど毛頭ないような雰囲気だ。むしろ、有識者を応援団につけ、外部からの声をバックに“巻き返し”を図ろうとしているようにも映る。
座長に決まった梶原・前岐阜県知事が強い口調で持論を展開した。 「将来的には球団名から企業名を外していく方向にしなければならないだろう。まず親会社との資金的関係をはっきりさせ、いずれは都市名だけにするべきだ。そうなれば、複数の企業から支援を受けられる。産業構造の変化に伴って、企業には社会貢献が求められている。プロ野球が企業のPRになるなんて発想はもう古いんだ」
コミッショナーの横で、梶原氏は「プロ野球の閉鎖性、硬直性を打破する。そのためには改革のスピードを鈍行、急行、特急(長期、中期、短期の意味)の3つに分類して方向性を示したい」と強調し、最後に「責任をコミッショナーに一元化し、コミッショナーの権威を高めなければならない」と付け加えた。
プロ野球の議決機関はオーナー会議と、球団社長、代表で構成される実行委員会。有識者会議の結論が、どう反映されるのかはまだ分からない。外部の人たちの意見交換の場で終わるのか、それとも強いコミッショナーがプロ野球を変えるのか。何の改革もできないようなら、それこそ張本さんに「カツッ」とやってもらうしかない。 |