浦和レッズが、元日、国立競技場の第85回全日本サッカー選手権決勝戦を制した。 次なる目標は04年シーズンに惜しいところで逃した「Jリーグ優勝」と誰もが期待をかける。 歓喜するサポーターに視線を注ぎながら「それも目標には違いないが・・・」とクラブの役員の1人はこう言って一呼吸おいたあと「この優勝が世界に通用するクラブへのスタートになれば、これ以上嬉しいことはない」と力をこめて話した。 個人スポーツの関係者からは、よく聞く言葉だ。チームスポーツとなると1970年代のバレーボール(男女)にまで私の記憶は遡(さかのぼ)る。 バレーボールはひたすら「金メダル、金メダル・・・」の連呼だった。 浦和レッズの目指す「世界レベル」は、競技力だけではない。 むしろ、総ての面で、先進している海外クラブの事業力に目標が置かれているのだ。会員数、集客量、売り上げ高、地域の支持度・・・。 日本にも、ようやく、このような経営感覚を備えたチームスポーツの風土が育ちはじめたといえる。 この理想は、浦和レッズの“独走”では、おそらく実現しまい。 Jリーグ各クラブのうち1つでも2つでも、いや5つぐらいは、同じ感覚で前進を競い合わなければ、成功への道は拓かれない。70年の歴史を刻むプロ・ベースボールに、同じような気迫がこれまでに生じていれば、ベースボール界にとどまらず、日本のスポーツ界に大きな刺激を与えただろうが、残念ながら、多くの年月は、親会社の販売促進を荷わされて過ぎた。 チーム力の強化とともに地球規模の展開と成熟を、新年早々の栄冠に重ね合わせる浦和レッズの意欲は、日本のスポーツ観の進化にもつながる。 誤解を恐れず書けば、代表チームがワールドカップで上位へ勝ち進むよりも、国内のクラブが世界的声価を得るほうが、はるかに難しいだろう。 それは、Jリーグ各クラブにとって挑みがいのある“業務”ではなかろうか―。 |