「世界1」という華々しい話題が、ベースボール界を包んだ。 このムード、本格化する新シーズンに持ちこめるだろうか。 テレビ界は「そうなって欲しいが・・・」と明るい表情を浮かべるものの、各局のナイトゲーム中継の放送時間延長は“短縮傾向”から脱せず、視線の厳しさは変わらないようだ。 ―例えば、フジテレビは、今シーズンの巨人戦中継の放送最大延長時間をこれまでの30分から15分に短縮している=3月14日付・各紙―。 判断の多くは「世界1」(現地時間・3月20日)の前に行われており、部分的な見直しもあるだろうが、ペナントレースの各試合が、どこまで内容の濃さでフアンを引きつけ、茶の間の話題を占めるかにかかる。 ドイツでのワールドカップ後、プロ野球が「アメリカの歓喜」を膨らませているなら、今年のテレビ・スポーツは、かなり活気づくことになる。 この風、荒川静香の金の舞いが、巻き起したのかも。 こうなると、求められるのは、テレビ側の“送り手としての質”だ。 近年のスポーツ中継は、視聴率にこだわりスポーツ本来の魅力を忘れて、化粧を施しすぎた。 送り手の軽さに、競技者が浮かれてしまったのも、それが一因である。 浮いた競技者のキャラクターや、人気タレントの“助演”がなければ、スポーツ番組(中継)への支持が得られないとしたら、あまりにも寂しい。 「面白くなければ見ない」という声を勘違いしてはなるまい。 面白い、面白くないとは、スポーツの“中身”であって、番組のつくりかたではないのである。 面白くないスポーツ、とはプロに限れば、競技者の熱のこもりかたの乏しさと、現代ではスピード感の不足、と言ってよい。 逆の見方をすれば、この2つの要素が整えば、アクセサリーは不要だ。 もともと、プロ野球で、放送権を独占しているテレビ局が、始まる前から、放送時間枠を規制していることがおかしい。 だが、現状は開始から終了までの“完全中継”など望むべくもなく、やがては厚化粧も避けられぬかと失望しかけた時に「世界1」である。 このタイトルにふさわしいペナントレースであれば、ベースボールの“テレビ人気”も甦えることだろう―。 |