ナイキと世界各地でシェア競争を展開しているグローバル企業アディダスの日本法人であるアディダス・ジャパンは日本を代表する大学スポーツの雄、早稲田大学と包括的な契約を結んだと発表した。 流石、マスコミ、特に運動部に多くのOBを有する同大学だけに全国紙が記事にするほどの反響で、仕掛人の大学関係者と同社は思惑通りと喜んだと言われている。 欧米では古くから行われていて珍しい事では無いが、日本初、特に近年低迷気味の往年の覇者早稲田大学だけにニュースバリューがあったようだ。 契約金額は当然公表されていないが年間1億円程度と推測されている。
同社は契約金の代価として、運動部を活用し用品用具、ウエア等の商品開発協力を得て、各部が同社製ウエア、用具類を使用することによりブランドの効果的な露出を狙う。 大学は契約金を活用し有力選手の獲得、奨学金、競技力向上対策、優秀なコーチングスタッフのリクルート等、多方面に活用することが考えられる。 関係筋によれば、早稲田スポーツを代表するラグビー部関係者と同社が接近し、この契約を推進したと言われている。 早稲田の宿敵慶応義塾はラグビー重点で大学選手権を制し、組織的なマネージメントを導入、展開し、着実な成果を得ているが、早稲田は偉大なOBの声が強く、新しい手法を導入するに至らなかったが、大学全体が1社と独占的に契約するという試みは名門早稲田復活に賭ける関係者の熱い思いが強く感じられる。 勿論、実績が挙がらなければ、有力OB連から叱責が飛ぶであろうことは容易に想像が出来るが、総長自らが強い早稲田復活のリーダーシップを発揮しているので、低迷気味の大学スポーツに新たな刺激を与えることが期待される。 アディダス社は日本国内でのマーケットシェアはサッカーを除き、ミズノ、アシックス、ヨネックス、ナイキの後塵を拝しており、後発として思い切った手法で上位各社のシェア切り崩しを目論んでいるものと思われる。特に、マーケットリーダーである大学生の競技者層へのブランド浸透に効果を求めるであろう。 さて、カレッジスポーツの先進国米国ではどのような仕組みとなっているか、述べて見よう。 ナイキの創業者、フィル・ナイトの母校、州立オレゴン大は同社から年間20億円以上(関係者の話)の寄付を受け、ナイキ一色に塗りつぶされている。 大学のキャンパスを訪れた際、大学内のコープに一歩足を踏み入れれば、ナイキのあらゆる製品で埋め尽くされている光景に出くわすのである。 さらに、全ての大学が自分達のロゴ、マスコットをプリントした生活用品まで含めたマーチャンダイズを展開しているのは壮観である。 早稲田大学も同じような展開が出来れば、アディダス社にとって文字通り投資目的を達成したことになるだろう。また、その成否は大学スポーツ界へ少なからず影響を及ぼすことが予想される。 何れにせよスポーツ関係者や業界にとり、注目に価する契約発表であった。 |