来年のワールドカップサッカーの国内テレビ放送権交渉が一通りまとまった。 CS(通信衛星)放送を運営するスカイパーフェクト・コミュニケーションズが、全64試合を「録画放送」で行う計画のもとに、国際サッカー連盟(FIFA)から放送権の販売を受託している広告代理店・電通との間の話合いを終え、5月16日、合意を発表したものだ。 地上波は、昨年4月すでにNHKと民放各社で構成するジャパンコンソーシアム(JC)との間に、40試合の放送契約が決定しており(Sports
Advantage vol.195=2004年4月7日号)、今回の動きは、いわば既定の路線、話題の鮮度はない。 競争相手が浮かぶ話でもなく、大会までの期間を考えれば急ぐ必要もなかった。 スカイパーフェクト・コミュニケーションズは、前回(2002年日韓大会)は、JCに先行し、早々と全試合の放送を、電通の手を経て、当時はまだ元気だったスイスのエージェント「ISL」と契約、テレビスポーツに新時代かと話題をまいた。
今回は、最初から「録画で」と一歩退き、JCにサキを譲っている。 開催地ドイツと日本の時差を考えれば試合翌日の視聴好適時間での「録画」は1つの手である。 JCは、地上波では、今回も24試合分を見送っている。前回以上に何がなんでも全試合を、という人は少ないだろう。“完全派”はスカイパーフェクト・コミュニケーションズか、BS(アナログ、デジタル)でカバーできる。 放送権料は、推定の域を出ないがJCが約145億円、「スカイ」が10億円台前半としてよいのではないか。放送関係者は、サポーターに劣らぬほど日本代表の本大会出場を信じている。 前回は、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが約135億円と張り切り、JCは60億円台ですませたが(=いずれも推定)、今回の総額は、それを下廻る。
時差などを理由に、はね上がりは一応抑えられた、といってよい。2008年北京オリンピックのJCによる放送権料は約196億円だ。 スポーツファンにとって、高品質、好内容のイベントが“特別の料金”を負担せず、テレビで視聴できるのは歓迎すべきだが、スカイパーフェクト・コミュニケーションズが、前回以上の“意欲”で乗り出さなかったのは、日本における「有料契約放送」の難しさを物語るのではないか。 スポーツはキラーコンテンツ、と言われながら、国内イベントで放送権料が主催者などの思うにまかせないのと併せて興味あるテーマだ―。 |