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100号記念メッセージ

■vol.114 (2002年9月25日発行)

【杉山 茂】釜山アジア大会、命運かける日本の球技
【早瀬利之】ジャンボ尾崎の113勝を祝す
【糀 正勝】ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ開幕
【高山奈美】横浜ギガキャッツのトライアウト始まる


◇釜山アジア大会、命運かける日本の球技
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

第14回アジア大会が、9月29日から10月14日まで、韓国・釜山市で開かれる。

この大会が韓国で行われるのは1986年ソウル大会についで2度目。今回は、初めてボディービルと近代5種を加え、38競技419種目が実施され、参加する国と地域は史上最多の44、選手役員は約9,900人にのぼるという。1994年に広島で開かれた第12回大会は、42の国と地域、約6,900人の選手・役員、35競技337種目という規模。オリンピック同様、ふくらむ一方の印象だ。4年後の次大会はカタール、中東初開催を前に、総てのサイズが見直される可能性がある。

日本選手団も980人を超す選手・役員となり、海外での開催では史上最多となった。日本オリンピック委員会(JOC)は、当初、派遣のラインを高く設けて、"濃縮"を打ち出したが、結局はしぼり切れない。

前回(1998年・バンコク)のJOC報告書に、「勝利への執念が感じられず、何のために参加したか、目的意識を持っていないような選手が見受けられたのが大変残念である」という一節がある。

その回顧と反省が、各スポーツに、どこまで浸透しているか、いたのか。金メダルの数争いだけで済まされぬ"危機感"が漂うのは、日本スポーツ界の現況の一面をとらえている、と云ってよいだろう。

今回、特に注目したいのはボールゲーム(球技)の試合ぶりだ。

4年前、優勝を飾ったのはバスケットボール女子の1種目だけ。サッカー男子はベスト8に進めず、アマチュア選手だけで臨んだベースボールは決勝で韓国に 1 - 13で完敗など、惨々だった。

その低迷が、シドニー・オリンピック(2000年)まで尾を引き、桧舞台を踏んだのは、プロを加えたベースボール、ワールドカップ(2002年)に燃えていたサッカー男子、アトランタ(1996年)で手応えをつかんだソフトボールの3競技だけに終わってしまった。

2年後に迫ったアテネ・オリンピックまでに、この不振から脱け出せるか、1つのカギを、今大会が握っている。早々とアテネへのチケットを握ったソフトボールを除いては、来年以降のアジア予選を勝ち抜かなければならない。

プロの基盤を持つスポーツはともかく、企業チームの活動に頼りきっていた長年のツケが、日本代表の勢いに影を落としているのは否めない。

釜山の結果次第で「球技再生」は、日本スポーツ界最大の課題として、改めて議論を呼ぶことになろう―。

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◇ジャンボ尾崎の113勝を祝す
(早瀬利之/作家)

ジャンボ尾崎(55歳)が一昨年8月、北海道で行われたサン・クロレラ クラシックで優勝して以来、2年1ヶ月ぶりに優勝して復活した。

生涯優勝回数は113。ツアー競技では1990年、杉原輝雄が優勝した時の53歳5ヶ月という年齢を超え、来年1月には56歳になる。

現役で優勝した最年長プロは、杉原輝雄に勝った戸田藤一郎の56歳9ヶ月があるが、全国区ともいうべきツアーでは、ジャンボが世界最年長優勝である。ちなみに、海外ではサム・スニードの52歳10ヶ月があるが、ゴルフ事情が違うとはいえ、単純に割り切れば、ジャンボが最年長優勝者であることは間違いない。

今年の全英オープンでもそうだが、欧米プロの老化は日本人より早い。食物のせいもあるが、選手の層が厚く、また若手選手が次々に出てくるため、追い越されるからである。その点、日本の若手は、かつてジャンボ尾崎や青木功、中嶋常幸が新人デビューした時のようなパワーに欠ける。

ジャンボのように「勝つこと」しか考えない選手にとっては、毎日が精進である。体調を整えるために食事を制限したり、酒(タバコは吸う)をワインに変えたりと、「戦う環境」作りに徹してきた。

30億円近い多額の借金に苦しんでいるのも、「勝たねばならない」理由のひとつである。借金返済で苦しむ勝負師の辛さは測り知れないものがあるが、そのことがバネになっているのは事実である。

そのことを考えると、今年の全英オープン会場で、青木功が私に、「借金できるということは、それだけ信用されている証拠だよ。」と言ったことを思い出す。

ことの起こりはパーティの席で私がわが身のことを「借金のため働いているよ。青木さんは税金のため働いているんだよね」と言ったことに始まった。彼が返す刀で切り返したのが前述の言葉である。なんでもはっきり言う男で、憎めない。30年も付き合っていると、こうもズケズケと言われると辛いが、励みにもなる。

話を戻すが、ジャンボの借金はバブルのツケ借金だけに、気の毒である。サントリーオープンで会った時、私が手を上げて挨拶すると、彼は照れ笑いしたが、その顔はやる気満々だった。クラブはとっかえ引きかえで、マネージャー君も大変だったが、それだけヤル気のある証拠だ。近々優勝するだろうと期待するものがあった。その翌週の「逃げ切り優勝」だから、まだまだ戦える。

今も彼は期待を持たせる唯一の選手である。彼が出ることで、多くのギャラリーが見に来る。テレビの視聴率も上がる。海外でも彼が出ると、その土地にいる日本人や日本からのファンが見に来る。丸山では、そうはいかないだろう。

何が違うかといえば、そのカリスマ性だ。勝つことしか考えない「借金王」の戦う姿。そのショーマンぶりがファンを惹きつけている。

だからこそ、あえて言いたい。トーナメントを盛り上げたかったら、彼にファイトマネーを出して招待することである。日本ゴルフツアー機構も、主催者側にもっと働きかけることを提案する。

それは同時に、逆風下にある日本ゴルフツアー機構の立ち直りにもなるに違いない。

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◇ヨーロッパ・チャンピオンズリーグ開幕
(糀 正勝/インター・スポーツ代表)

2002年9月17日にヨーロッパ・チャンピオンズリーグが開幕した。

各国リーグの優勝チームを中心に、32のトップクラブから構成されるこの大会は、ヨーロッパサッカー最高のクラブ選手権大会である。「最高」というのは、技術レベルの最も高い大会という意味と大会の参加ボーナス・優勝賞金額が最も高いという二重の意味においてである。

ヨーロッパの各クラブはまず各国リーグでの優勝を目指し、その上でチャンピオンズリーグへの出場権を争う。チャンピオンズリーグへの出場が決まれば、各クラブは一次リーグのボーナスとして4〜5億円が保証される。さらに二次リーグ進出となれば、ボーナスが加算される。優勝チームは50億円以上のボーナス・優勝賞金を確保することが出来る。

昨年のチャンピオンはレアル・マドリードである。レアルはその優勝賞金の一部でロナウド(ブラジル代表)をインテルから強引に移籍させた。フィーゴ、ラウール、ジダン、ロベルト・カルロス等のスター軍団を擁するレアルは、今年も優勝候補の筆頭である。対抗チームとしては、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルのイングランド勢とドイツのバイエルン・ミュンヘンがあげられる。ここ数年イタリアチームは全く振るわない。

9月18日にはロッテルダムのデ・カイプスタジアムで一次リーグE組のフェイエノールト対ユベントス戦が開催された。

ユベントスは日本で最も馴染みが深く、昨年のセリエAのチャンピオンだ。GKブッフォン、DFモンテーロ、テュラム、MFダービッツ、FWネドベド、デルピエロ、サラス等のそうそうたる各国代表をそろえている。一方のフェイエノールトは、昨年のUEFAカップチャンピオンである。それぞれが二次リーグ進出を賭けて大事な初戦を迎えた。

5万人のサポーターに後押しされたフェイエノールトは、小野伸二、宋鐘国の日韓コンビ、若手のエマートン、パルド、ブッフェルを中心に、前半から積極的に攻勢をかけたが、先制点を上げたのはユベントス。前半32分右サイドのカモラネージが、クリアボールを胸でトラップして右足ダイレクトのミドルシュートを鮮やかに決めて先制した。フェイエノールトは後半20分、ファン・ホイドンクが20メートルのフリーキックを見事に決めて1対1の同点に追いつき、初戦の勝利を意識した両チームの激しい駆け引きが展開された。

ファン・ホイドンクのFKはヨーロッパでもトップクラスである。ユベントスの壁作りは執拗を極めた。小野伸二は何度も壁から弾き飛ばされた。また、早いチャージに2枚もイエローカードが出され、フリーキックは3度も繰り返され、その3度目のシュートが決まった。

試合は1対1の引き分けに終わり、両チームが勝ち点1を確保して、第2節に向かう。

2年目の小野伸二は左ボランチをつとめた。チームの中心選手としてディフェンスと攻撃の舵取りを行った。

昨年のチャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦では、ほとんど仕事をさせてもらえなかった。この1年の経験は小野伸二を間違いなく成長させた。

オランダのフリットは「小野伸二はトップ下の指令塔の位置が得意だといわれているが、確かにトップ下はプレッシャーが少なく魅力的なポジションだ。しかし、プレッシャーの強いボランチを5年ぐらい経験すれば、ヨーロッパのトップクラスの素晴らしい選手になるだろう」とWOWOWのテレビ解説で語っていた。

選手の才能は、厳しい競争を経験して開花する。ヨーロッパで挑戦する中田も、稲本も、中村も、鈴木も、川口も、更に成長するだろう。

近い将来、中田と小野のダブルボランチ、稲本のトップ下という日本代表が見られるかもしれない。

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◇横浜ギガキャッツのトライアウト始まる
(高山奈美/スポーツライター)

いすゞ自動車バスケットボール部が昨シーズン限りでの活動の休止を表明した時には、各地のファンから署名活動が起こるなど、休部宣言に慣れつつあったバスケットボール界と言えども、さすがに大きな波紋を呼んだものだった。

シーズン終了直後、ファンの熱い支持を受けた元監督の小浜元孝氏は、新たに独自にプロ化を目指したクラブチーム作りに挑戦すると宣言。その準備段階の一環である第1回のトライアウトが、9月14日にいすゞ自動車の藤沢工場内の体育館で実施された。

ところが、ホームページなどで募集した結果、当日、トライアウトに集まったのはわずか8人。休部反対を唱えて1万人以上ものファンが署名活動を行い、部の存続を願ったわりには少なすぎる人数となった。

当然、レベルも高くは望めず、体力測定や技術テストに重点がおかれた午前中の1次テストで半数以上の5人が落とされ、チーム練習を取り入れた午後の2次テストに進んだのは3人。最終的に合格を認められたのはアメリカの大学で修行を積んだという192cm、83kgの池田二郎さん(25歳)ただ一人となった。

小浜氏は「彼なら1年ぐらい育てればものになるだろう」と見るが、現時点ではJBL、日本リーグクラスの選手と比べ、見劣りするのは否めない。

それでも、火をおこす努力をしなければ何も始まらない。還暦をゆうに過ぎて、再び新天地での挑戦を続ける小浜氏の熱意には頭が下がる。トライアウトで披露した、バスケットボールに対する深い知識と、細やかで理詰めの指導手腕には、改めて長年にわたって日本バスケットボール界を引っ張ってきた実力を感じずにはいられなかった。

このトライアウトは第2回(10月5日)、第3回(11月9日)、第4回(12月21日)と予定されており、元全日本監督も務めた名将の小浜氏が直接指導しながら、プログラムは進められる。また、横浜ギガキャッツのメンバーと同じフロアに立ち、マッチアップする機会にも恵まれる。

第1回のエントリーはわずか8人に留まったが、参加者は異口同音に「意義深かった」と話しており、合否にかかわらず受けて損はない。

少しでも自信がある人ならば、一流の指導者のもとで自らをアピールし、実力を試すビッグチャンスであり、プロ化のパイオニアとしてチャレンジしていく横浜ギガキャッツにとっても、多くのプレーヤーが応募してくれるのは願ってもないことであり、まさに一石二鳥だ。

トライアウトの申し込み方法は横浜ギガキャッツのホームページ参照のこと。プロ化構想へのチャレンジに、自信のある人は一役買ってみてはどうだろうか。

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