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100号記念メッセージ

■vol.120 (2002年11月6日発行)

【杉山 茂】2012年夏季オリンピック開催にニューヨークが立候補
【早瀬利之】全日本剣道選手権を見て
【松原 明】エンゼルスの優勝


◇2012年夏季オリンピック開催にニューヨークが立候補
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

アメリカオリンピック委員会(USOC)は、11月2日にコロラド州で開いた総会で、2012年の夏季オリンピックにアメリカから立候補する都市を、委員の投票の結果、ニューヨークに決めた。

ニューヨークの他は、ワシントン・ボルティモア地域、ヒューストン、サンフランシスコの4都市が名乗りをあげていたが、USOCは今夏8月に、まず、ニューヨーク、サンフランシスコの2都市に絞る作業を終え、今回、決選投票を行って、ニューヨークが123人の委員から60パーセント近いポイントを得て、選出されたものだ。

国際スポーツ界の事情に詳しい人たちは、当初、ワシントン地域が有力とみていたが、次第にニューヨークを推す声が高まり、その勢いを決選にも持ち込んだ。同時多発テロ(昨秋9月)で攻撃された後の復興へ立ち上がる姿勢が支持を受けた、と見てよい。

このムードが、2005年に予定される国際オリンピック委員会(IOC)の"投票日"まで持続されるか、その道のりはいささか長いが、IOC委員には、自らの理念とはいえ改めて「平和」を謳い上げるアピールには、グラリとくる体質がある。

ソウル(韓国)か、名古屋か一騎打ちとなった1988年夏季大会開催地の決定でも、「国際緊張下におかれている都市を選んでこそ」というソウルの主張が功を奏した、と、私は後からヨーロッパのマスコミ関係者に聞かされた。

さて、「2012年」には、今年4月にインドが計画を明らかにしたのを加え、イタリア(ローマ)、ロシア(モスクワ)、スペイン(セビリア)、ハンガリー(ブタペスト)、ドイツのヨーロッパ勢、ブラジル(リオデジャネイロ)など、かなりの数の立候補が予定されている。決定まで3年近くある現時点ではとても見通しなど立てられない。

アメリカの都市が立候補した時は、夏・冬を問わずアメリカのテレビパワーがモノを云う、と言われるが、このケースではどうか。

IOCは、年内にヨーロッパ、アメリカ、日本(民放とNHK)などの放送界それぞれと、「今後のオリンピックと放送」について意見を交換する予定だ。

インターネット時代のオリンピックも2010年代以降は、新たな展開があるかもしれない。

2010年の冬季大会開催地(韓国・江原道など8都市が立候補。来年7月、プラハでのIOC総会で決定)から、いわゆるロゲ新体制の本格的な幕が開く。

IOCのアメリカ(ニューヨーク)の"扱い"は、私には大きな注目点だ。

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◇全日本剣道選手権を見て
(早瀬利之/作家)

今年は戦後の剣道復活から50年目に当る。50年前の日光大会では、神奈川県警の鬼才、中村太郎が初優勝した。その後、京都でも剣道大会が行われ、ようやく復活した。

戦後の剣道復活に動いた人物には、戦前から剣道を指導していた斉村五郎や持田盛二らがいる。選手としては中村太郎、皇宮警察から鹿児島へ戻っていた中倉清もいた。

剣道大会は、オープン戦に変わり、戦前の天覧試合のように、一般の部、教士の部(プロ)の2部制はなくなった。オープン戦化されて、スポーツ剣道となり、剣道が持つ「心・技・体」の理念が薄れた。

竹刀、道具は変わらないが「真剣味」が無くなり、「早当て竹刀競技」になった。そのため、縦一本のワザが多く、左右の動きを取り入れたワザが姿を消した。

特に、小柄な選手は縦一本のワザでは不利で、疲労も大きい。東京警視庁の原田選手に欠けていたのは、背の高い相手に対する研究不足であった。

コテ・メンの同じワザしか出していない。相手を起こして左右のワザを入れていたら勝っていた。

「イヤ、オレにはオレのワザがある」というなら、それでも良い。「快い負け」も、また剣の道である。だが、負けて何の意味があるか、である。

かつて、中倉清9段範士は、戦う前には相手を研究してワザを練った。上段、中段、引き胴、引き小手、片手突きと、連続ワザを出した。1の太刀、2の太刀とワザが決まるまで打ち込んだ。

生前の中倉清は「最近の剣道は体さばきが悪い」とも指摘していた。横の動きがないため、単純なワザしか出せないとも言われた。

初優勝した安藤戒牛選手には、中倉清指摘のワザが生かされていた。正中線からの突き、近間からのワザも時間の関係上、延長に入ると「物打ち」を外れても一本にするなど、見る側には不満な面はあったが、あれほど延長が多いと、やむを得ない点はあった。真剣戦なら、皮膚一枚切った程度のワザだが、それだけ、ワザに変化がない証拠である。

その意味では、8段戦は見ごたえがあった。大成功と言って良い。

私は2年前から、「8段戦をやるべし、本当の剣道は8段戦にある」と日本剣道連盟にも提案してきた。50周年目の今年、それが実現されて嬉しかった。小林英雄、末野栄二、蒔田実、山田博徳選手などのワザは、はっきりしていて、真剣の味が出ていた。気持ちよかった。

これからも、この8段戦を続けてほしいと思う。願わくば、一般の部には、過去5年までの優勝者にシード権を与えてほしいと考える。

そして、できれば、この大会は、各県から一人制に戻し、その他に、「女子の日本一」もやってはどうだろうかと思う。

企画面では、変化がほしい。日本選手権は男女別、5年シード権付、8段の部の設置など、イベント性を前向きに考えられることを願う。

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◇エンゼルスの優勝
(松原 明/東京中日スポーツ)

大リーグの王座に着くにはスターを集めた大金年俸チームでなければ無理、という定説を覆した、エンゼルスのワールドシリーズ王座は見事だった。

アナハイム、サンフランシスコの、カリフォルニア南北対決シリーズを制したエンゼルスは、特別なスターのいない、無名集団。チーム年俸は大リーグ15位の6,280万ドル。相手のジャイアンツも7,840万ドルで10位。1億ドルを超すヤンキースを始めとするチーム年棒上位チームが抜けたシリーズは近来なかった。

エンゼルスは1961年の球団拡張で誕生。「歌うカウボーイ」で有名になり、カリフォルニアのTV、映画産業で成功した、故ジーン・オートリオー・オーナーが約30年も手塩にかけて支援してきた。だが、これまでは、プレーオフでも後一歩足りず、優勝に手が届かないまま、4年前、91歳で死去。球団運営はディズニー社が引き受けた。

オートリー氏の未亡人、ジャッキーさんは夫の遺志を受け継ぎ、側面から援助。ついに、球団創立42年で悲願を遂げた。オートリー氏の功績は「スター選手を金で集めても成功しない。ファームを充実させ、自力で育てよう」と、1991年から育成に本腰を入れたことだ。

マイナーは3AからA級まで、監督を補佐する専門コーチが必ず2、3人付き、細かい基礎指導に手を抜かなかった。

シリーズで大活躍したラッキー、ロドリゲス投手らは、後半から昇格し、チームを活性化させた。ドジャースから招いたマイク・ソーシア監督は3年目でチームに集団で戦う一体感を植え付け、「個人主義はいけない。勝利へ全員で進もう。」と、キャンプから教育したのが実った。ドジャース時代からのコンビ、ミッキー・ハッチヤー打撃コーチも「エゴは捨てよ」と、選手にチーム・プレーを教え込んだ。

最後までギブアップしない粘りが4勝を呼び、ボンズの大砲に頼るジャイアンツに逆転勝ちした。

来年も主力選手は不動。若手も伸びて来る。チーム作りとは何か、を改めて教えたエンゼルスの快挙だった。

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