トリノ冬季パラリンピックもついに幕を閉じた。9日目に行われたアイススレッジホッケー決勝戦・ノルウェー対カナダでは、カナダが2点リードで迎えた第3ピリオド残り4秒、観客の大歓声の中、カナダが放ったパックは、ゴーリーを引き上げ全員攻撃で臨んでいた誰もいないノルウェーゴールへ。決定的ともいえる3点目を追加したカナダが、激戦を制しパラリンピック初優勝を成し遂げた。この日は車椅子カーリングでもカナダが優勝しており、同日2つ目のチーム競技の金メダルに、カナダ応援団のボルテージは最高潮に。次回の開催国として弾みをつけた1日となった。 10日目の最終日には夜行われる閉会式の前に、ノルディックスキーの会場ではクロスカントリーが、またアルペンスキーの会場では回転競技が行われ、アルペンスキー女子回転座位では日本の青木辰子選手が銅メダルを獲得。日本選手団に有終の美を飾ってくれた。 最終的に日本のメダルは9つになった。期待されたアイススレッジホッケーは3大会連続の5位で終わったものの、選手の実力は着実に上がっており、世界と互角に戦えることを証明してくれた。スキー競技では、長野大会での好成績後ソルトレーク大会で悔しい思いをした選手たちが、きっちりとそのリベンジを果たした大会となった。 こうしてひとつずつ競技は終わっていった。どの会場も最終日は、決勝戦やメダル決定という最高のカードに、観客たちは今まで以上の盛り上がりをみせた。その興奮と感動は最高潮に達していただけに、すべての競技が終わり観客たちの去った会場の静けさは胸にこたえる。 常に温かく接してくれたボランティアの人たちや大会運営スタッフ。時に陽気に会場を盛り上げ、競技の「記録」やアスリートへの「感動」だけではなく、応援する「楽しさ」を教えてくれた。そんな彼らにも、それまで過ごしていた日常が戻ってくる。けれども大会前と違うのは、出会いと感動という共通の思い出が人々の心に残っていることだろう。次の舞台はバンクーバー。それぞれの思いを胸に、新たな道はもう始まっている。 |