パラリンピックもいよいよ後半戦へ。選手も連戦により疲れがたまるころだが、取材する側の疲労もかなりピークに達している。特に今回の大会は、アイススレッジホッケー会場は市内にあるものの、そこから高速で1時間ほど離れた場所にカーリング会場、さらに1時間山を登った場所にノルディックスキー、そしてさらに30分ほど山の上にアルペン会場と、競技ごとに会場がすべてバラバラで離れていることから、移動時間や移動手段にかなりの労力を必要とされている。 そんな中、どの会場でも姿を見かけるのが日本人メディア。日本選手が出ていないカーリング会場ですら、日本人メディアが多く目につくほどだ。一方、ほかの国、特にヨーロッパ各国はもともとスキー競技が人気なためか、ドイツのテレビ局は過去最高人数のクルーを投入。そのほか、フィンランド、フランス、イタリア、ノルウェーなどのテレビ局が、自国の選手たちを追いかけているという。視聴率もかなり高いらしい。また、今回初めて生中継を含めたインターネットでの映像配信は、日本でも深夜にもかかわらずかなりの人が見ているようで、映像を見ている人からのインターネットでの結果の書きこみは、現地記者よりも早いくらいだ。 日本では、NHKで放送された開会式の模様が視聴率2.4%を獲得。同じ日に行われたサッカーJリーグ中継が3.4%(IPCニュースより)だったことを考えれば、かなりの高視聴率といえるが、スポーツだけでも野球の世界大会や、国内プロ野球の開幕を控え、サッカーその他、話題はつきない時期である。実際、先日やたら日本人の男の子をトリノの街中で見かけると思ったら、サッカー・セリエAの「ユベントス対ミラン」戦を日本から見にきた人たちばかり。彼らに「パラリンピックって知ってる?」と聞いてみても「なんかそういうのありましたね」というくらいなのが現実だ。日本ではもともとマイナー競技のバイアスロンで小林深雪選手が金メダルを取ったからと、現地取材陣が大慌てで携帯電話で本社と連絡を取ったり、時差の関係から原稿や写真をすぐさま送ったりとバタバタ活気づいていても、それが日本ではどれくらいのものとなって伝わっているのか、その温度差はかなりあるだろう。 実際、アイススレッジホッケーの日本対イタリア戦を見ていたところ、大会運営のイタリア人に「日本はこんなに強いんだから、さぞかしアイススレッジホッケーはメジャーなんでしょう?」と聞かれたが、答えに困った。少なくともパラリンピック期間中は「記事」になるが、ひとたび大会が終わってしまえば、次の4年後まで話題にのぼることは数えるほどしかないに違いない。障害者スポーツを本当の意味でメジャーにするためには、こうした大会のみならず普段の彼らの活動こそが、もっとスポットライトを浴びるべきものなのかもしれない。 |