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2006トリノ冬季パラリンピック競技大会 開会式 オリンピコ競技場
(C)photo kishimoto

2006トリノ冬季
パラリンピック競技大会
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2006トリノ・パラリンピック特集A(2006年3月11日トリノ発)
角田 麻子/スポーツライター

トリノオリンピックのデータも活きた、金メダル第一号・バイアスロン小林深雪選手

            


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トリノ・パラリンピックレポート
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スポンサー企業の支援が実るか、メダルを目指す日本代表
(角田 麻子/スポーツライター)


 トリノオリンピックでは日本代表がなかなか辿りつかなかったメダルだが、トリノパラリンピックでは競技初日から、しかもいきなり金メダリストが誕生した。バイアスロン視覚障害クラス12.5kmの小林深雪選手である。長野で金メダルを獲って以来のメダル、しかも再び金色のメダルを手にしたのだ。

 バイアスロン競技はオリンピックにもあるが、私自身、競技の内容は「クロスカントリーの合間に射撃」ということ以外知らなかった。初めて生で観戦して驚いたのは、まるでF1のように複数のスタッフが射撃の得点と滑りのスピードを計算し、選手に伝えていることだ。

 射撃は1発外すと1分のペナルティーとなるので、実際滑っている順序ではなく、前後の選手との本当の順位関係を知りながらレースを展開していく。さらに、滑りにおいて心拍数がどれほど上がるかで、射撃に入るときに呼吸を整える時間も変わり、ロスタイムも大きく違ってくるため、ただがむしゃらに滑ればいいというものでもない。

 滑りの技術と持久力、さらに射撃の腕という、複雑な要素がからみあって初めてトータルな結果に結びつくこの競技に、文字通り二人三脚で臨んできたのが、小林選手とガイドの小林卓司さん。そして小林選手を「所属選手」として全面的にバックアップしているのが「日立システムアンドサービス」であり、さらにスキーメンテナンスには、オリンピックも担当したワックスチームがオリンピックでのデータを持ち込んで調整を行った。

 小林選手の金メダルのみならず、立位クラスの太田渉子さんの初出場銅メダルという成績も、選手自身が積み重ねてきた頑張り以外に、1人の選手のレースに多くの人がそれぞれの専門分野で協力・支援した結果だろう。この二人とも、レースの後には「私ひとりで戦ったのではない」ということを口にしていたが、「バイアスロン」が個人競技であるにしても、結果の喜びは大勢で分かち合え、まさに今回は「チーム」の勝利といっても間違いない。

 こうした面を考えると、現在のように同じ種目でも健常者と障害者で別々に大会を行うシステムが、いかに効率が悪いかということも見えてくる。「同じ土俵」で戦えということではなく、「同じ競技」という枠で強化体制を作っていけば、データの共有などさまざまな面で強化の効率化が図れるのではないだろうか。もはや「参加するだけで意義がある」というのはパラリンピックに関しても建前上のことであり、パラリンピックに出場し「メダル」を狙い「結果」を求める選手たちの姿は、オリンピック選手と何ら変わりがない。

 オリンピックとパラリンピックの垣根を越えたバックアップ体制という新しいモデルケースとして、今後はほかの種目でもいろいろ行ってみる価値はある。


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