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100号記念メッセージ

■vol.123 (2002年11月27日発行)

【杉山 茂】新たな動きが加わるか「ナマ映像ビジネス」
【早瀬利之】タイガー・ウッズは何をしにきたのか


◇新たな動きが加わるか「ナマ映像ビジネス」
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

288億人。2002FIFAワールドカップをテレビで観た"全世界の人数"である。

国際サッカー連盟(FIFA)が11月21日に明らかにしたもので、放送エリアは、これまで最高の213の国と地域。この数字には、どのようなルートで映像が送られたか、未だに「不明」とされる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)も含まれているハズだ。

この問題は、大会中、毎日のようにFIFAの記者会見でジャーナリストから質問されていたが、「分からない」「調べている…」で終ってしまった。

それはさておき、288億人の視聴者は、1994年の321億人、1998年の334億人に比べれば少ない。

FIFAは、これまでの算出方式と違うからと説明したが、1998年までが、どのような方式だったのか、私は、これまでずいぶん聞きまわっていたが、これという答えを得ていない。今回の方式も今のところ詳らかではない。

1年前までは、エージェント筋のビジネストークとして、350億人以上が見込める、と聞かされていた。その一方で、有料契約放送が増え、300億人台の確保は難しいとする日本のエージェントもいた。その見方が当ったともいえよう。

FIFAは、スタディアム外の会場に設けられた大型スクリーンによる"観戦者"は25億人を越えた、としている。「パブリック・ビューイング」という催しで、日本、韓国でも予想以上の人出をみた。FIFAは、すでに「パブリック・ビューイング権」を設定しており、日本でも、次回からは、このビジネスが発生しそうだ。

今回、「時差」はあまり影響がなかった、というが、これを聞いて日本の放送関係者の1人は「2006年の日本との放送権交渉へのけん制球だ」と苦笑を浮かべた。ちなみにこの交渉、ゆっくりながら、すでにスタートを切っている。

話は変るが、国際オリンピック委員会(IOC)は、2010年以降のオリンピック放送権交渉にできるだけ早く着手したい意向のようだ。「インターネット権」の新設も視野にあるらしい。放送界側の反応に注目が集まる。

「テレビ」だけだった「ナマ(ライブ)映像ビジネス」に、新たな動きの加わる時代は、確実に近づいている―。

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◇タイガー・ウッズは何をしにきたのか
(早瀬利之/作家)

タイガー・ウッズは勝てなかった。そして、米シード権を失った横尾要が15アンダーで勝った。この2つの事実をどう評論していいか、ジャーナリストとしては、頭を痛めている。

正直言って、横尾要の優勝を高く評価しなければならない。だが、どの新聞も、横尾の偉大さを評価していない。そのことが、ひどく気になった。

スポーツの世界だけは偏見なしで、よく戦った者を評価するものであるが、敗れたタイガーへの同調記事が多かったのはなぜか。

所詮、タイガーにとっては、ダンロップ・フェニックスは遊びの大会だったかもしれない。

恋人なのか、ガールフレンドなのか知らないが、彼女を同伴して旅行気分でやって来て、契約メーカーの宣伝のためにヘトヘトに疲れていたようだが、それにしても、こんなに弱いタイガーは、来日しない方がよかった。カリスマも何もない。ヘトヘトになって、ヒステリーショーを見せつけられただけで、なんとも後味の悪い大会だった。

テレビ放映たるや、まるで、「タイガートーナメント」だった。アクションのシーンの多いことには、うんざりさせられた。「またか、このアホ!」と、ヒステリーシーンを見るたびに、腹が立った。

私に限らず、ダンロップ・フェニックスは日本オープンなどと違い、日本最大の国際試合と認識している。

かつて、ジャック・ニクラウスを呼んだ時は、1億円近いファイトマネーを払ったなどと噂されたが、今回はいかばかりか。

あれほどナイキ・マークが画面に出ると、これは国際試合ではなく、ただの「ナイキ・フェニックス」という他ない。それでいて、ナイキ契約プロは2人とも優勝できなかった。

彼にしてみれば、日本のローカル試合、それも米ツアーのランクに入らない親善試合かもしれないが、2億円という賞金のビッグトーナメントは、この不況下の日本では、破格である。

アメリカのツアーは一試合が5億円だから、2億円の大会など眼中にはなかったかもしれない。しかし、観る側にしてみれば、もっとハラハラ、ドキドキの試合をやってほしかった。

【読者の声】

私はスポーツの専門的知識はないが、今回の横尾要の優勝は単なる一つの勝利とは違い、大変価値ある優勝と位置づけ、嬉しく感じている。彼自身の置かれてい た今回の環境の中で、よく頑張ってくれ、又、並み居る強豪の中での勝利は大きいし、外国勢に優勝をさらわれなかったことは素晴らしい。

作者の仰るとおり私も日本の報道の仕方に少々危惧の念を抱いている。私の感じていることは、日本人は外国へ出ていって修行して戻ってきた人間を評価したくないのだと思う。この島国で築いた種々の構造の中でやらない人は基本的に嫌うのだ。その構造を崩されたくないし、そうしないと皆が安心していられなくなるからだ。スポーツ界だけでなく、今は高い評価を得ている小澤征爾氏だってこのような日本の環境のなかで、以前は厭な思いをされたと思う。

それと、今回は報道する側にタイガーが優勝するということを初めから決めてかかっていた感があるし、そういう報道(ドラマ)を描きながらスターとしていたわけだ。しかし、予定が狂ってしまい、よりによって彼(横尾選手)のような人が優勝してしまった。内心おもしろくないし、評価もしたくない、ということではなかったのか。

大体、外国人に高額を払ってお出で頂くやり方で、日本は外国勢に嘗められているのが実情だと思う。日本はもっと毅然とした態度で同等に外国と接したらよいと常々感じている。

今城力夫(フォトジャーナリスト)

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