2002年9月17日にヨーロッパ・チャンピオンズリーグが開幕した。 各国リーグの優勝チームを中心に、32のトップクラブから構成されるこの大会は、ヨーロッパサッカー最高のクラブ選手権大会である。「最高」というのは、技術レベルの最も高い大会という意味と大会の参加ボーナス・優勝賞金額が最も高いという二重の意味においてである。 ヨーロッパの各クラブはまず各国リーグでの優勝を目指し、その上でチャンピオンズリーグへの出場権を争う。チャンピオンズリーグへの出場が決まれば、各クラブは一次リーグのボーナスとして4〜5億円が保証される。さらに二次リーグ進出となれば、ボーナスが加算される。優勝チームは50億円以上のボーナス・優勝賞金を確保することが出来る。 昨年のチャンピオンはレアル・マドリードである。レアルはその優勝賞金の一部でロナウド(ブラジル代表)をインテルから強引に移籍させた。フィーゴ、ラウール、ジダン、ロベルト・カルロス等のスター軍団を擁するレアルは、今年も優勝候補の筆頭である。対抗チームとしては、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルのイングランド勢とドイツのバイエルン・ミュンヘンがあげられる。ここ数年イタリアチームは全く振るわない。 9月18日にはロッテルダムのデ・カイプスタジアムで一次リーグE組のフェイエノールト対ユベントス戦が開催された。 ユベントスは日本で最も馴染みが深く、昨年のセリエAのチャンピオンだ。GKブッフォン、DFモンテーロ、テュラム、MFダービッツ、FWネドベド、デルピエロ、サラス等のそうそうたる各国代表をそろえている。一方のフェイエノールトは、昨年のUEFAカップチャンピオンである。それぞれが二次リーグ進出を賭けて大事な初戦を迎えた。 5万人のサポーターに後押しされたフェイエノールトは、小野伸二、宋鐘国の日韓コンビ、若手のエマートン、パルド、ブッフェルを中心に、前半から積極的に攻勢をかけたが、先制点を上げたのはユベントス。前半32分右サイドのカモラネージが、クリアボールを胸でトラップして右足ダイレクトのミドルシュートを鮮やかに決めて先制した。フェイエノールトは後半20分、ファン・ホイドンクが20メートルのフリーキックを見事に決めて1対1の同点に追いつき、初戦の勝利を意識した両チームの激しい駆け引きが展開された。 ファン・ホイドンクのFKはヨーロッパでもトップクラスである。ユベントスの壁作りは執拗を極めた。小野伸二は何度も壁から弾き飛ばされた。また、早いチャージに2枚もイエローカードが出され、フリーキックは3度も繰り返され、その3度目のシュートが決まった。 試合は1対1の引き分けに終わり、両チームが勝ち点1を確保して、第2節に向かう。 2年目の小野伸二は左ボランチをつとめた。チームの中心選手としてディフェンスと攻撃の舵取りを行った。 昨年のチャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦では、ほとんど仕事をさせてもらえなかった。この1年の経験は小野伸二を間違いなく成長させた。 オランダのフリットは「小野伸二はトップ下の指令塔の位置が得意だといわれているが、確かにトップ下はプレッシャーが少なく魅力的なポジションだ。しかし、プレッシャーの強いボランチを5年ぐらい経験すれば、ヨーロッパのトップクラスの素晴らしい選手になるだろう」とWOWOWのテレビ解説で語っていた。 選手の才能は、厳しい競争を経験して開花する。ヨーロッパで挑戦する中田も、稲本も、中村も、鈴木も、川口も、更に成長するだろう。 近い将来、中田と小野のダブルボランチ、稲本のトップ下という日本代表が見られるかもしれない。 |