日本スポーツ界のトップゾーンは、明らかに崩壊しはじめた。 第14回アジア競技大会(釜山)を終えて、金メダルの数がどうのこうの、という以前に、各スポーツ団体がよほど腰の座った"再建プラン"を打ち出さなければ、行き先は暗くなるばかりだ。 日本オリンピック委員会(JOC)を始めとするスポーツ団体関係者は、厳しい状況を知りながら、一向に危機感がない。 金メダル至上の姿勢から、スポーツ・フォア・オールをより強く揚げることに理念を大変換させよう、というのなら、それはそれで結構だが、そのような気配はほとんどない。 遅ればせながら、国立スポーツ科学センター(東京都北区)も完成し、スポーツ振興基本計画には、強化の一貫指導の促進が謳いこまれるなど、トップゾーンの"環境"は整い始められてきたが、肝心の最前線に緊張感が乏しくては、これからもJOCなどの幹部は「深く反省」の弁を繰り返すことになる。 多くのスポーツ関係者は、低迷の要因に少子化と企業のスポーツ路線撤退をあげる。 学生(大学)スポーツが退潮し始めた時も、「学生の興味が多様、多彩になった」と一般論を振りかざすばかりで、インターカレッジや地域学生リーグの運営に魅力ある新しい方向を見つける努力を示さなかった。少子化も企業のスポーツ路線撤退も、このまま通り過ぎ、ひたすら幹部の頭の下げかたの角度が深まるばかりではないか。 トップゾーンの再建・拡充を最大、緊急のテーマとして、スポーツ界あげて取り組むことをためらってはなるまい。 国際基準に合わせた年代別競技会への切り替え、各地の施設を拠点としたトップレベルのコーチング体制の促進と、そこから生まれる競技志向型クラブ(チーム)の助成、国体の活用など、手は充分に残っている。 これは、ボールゲーム系団体の関係者に多い傾向なのだが、1988年のソウルオリンピックを目指し、その余勢で強さを保ってきた韓国の力は2000年台には萎え、そうなれば、日本はアジアの中で再浮上のチャンスを掴めるとしていた。 ところが、2008年にオリンピックを迎える中国が、早くも凄まじい力を示し、この淡い望みも吹き飛ばされた。韓国は釜山市で2016年あるいは2020年にオリンピックを開きたい、という。 アジア諸国の競技力は、着実に伸びている。このままでは、日本は21世紀の半ば近くまで、復活を成し遂げられない。 各スポーツ団体が、競い合うように練り上げた「ビジョン21」も、このままでは、「それだけの話」で終わるだろう。 |