今年のブリヂストンオープンはオーストラリアのプロ、S・レイコックが−16で、日本ツアー初優勝した。 前週の日本オープンは同じくオーストラリアのD・スメイル選手が優勝し、これでオーストラリアンツアープロが日本ツアーで2連勝だ。 勝った試合のグリーンが、いずれも芝目の強い高麗グリーン。不慣れなグリーンのはずだが、オーストラリア選手2人が勝ったということは、逆の見方をすれば、日本選手は苦手意識を持ち続けて、逃げ腰だったとも受けとれる。 スメイルもレイコックも、日本ツアーでは、他の豪州プロに大きく遅れての初優勝だった。5〜6年も日本ツアーで戦っておれば、高麗グリーンのクセも見抜けて、研究もしている。 レイコックは今年のフジサンケイクラシック(川奈)ではプレーオフを戦って敗れたが、2位に入った試合も多く、勝てる位置にいた。 今回のブリヂストンオープンの袖ヶ浦CCの高麗グリーンはステンプメーターで、10フィートと高速グリーンに仕上がっており、ラインの読み辛さでは日本選手も同じ。 しかし、前週の下関CCといい、今回といい、日本選手は最終日に崩れている。これはどうしたことか、と現場で考えた。 私の眼には、「勝ってやる」という気迫が伝わってこなかった。勝負は16番で決まったようなものだったが、それまでに、どうして日本選手は追いつけなかったのか、という疑問が残る。 「この秋は疲れが出る頃」という声もあったが、レイコックは夏場はヨーロッパツアー、米ツアー、地元オーストラリアツアーと、まさしく渡り鳥なみの移動だった。 しかもレイコックのスウィングは、オーストラリアで育ったせいもあり、ボールの弾道が低く、飛距離も270ヤード平均だから、日本ツアーの中では飛ばない方になる。今回のディスタンスも48位だった。 それでも、今回はロングホールの16番で、スプーン(3番ウッド)を2回使って2オンに成功した。確実にフェアウェイをキープしながら、またショットも安全なポジションに落としながら袖ヶ浦を攻略した。 日本選手をみていると、頭から苦手意識を持ち、勝ってやろうというハングリー精神に欠如していた。 高麗グリーンを使う大会は、今年は川奈と芥屋、下関、そして、袖ヶ浦と4コースもあった。川奈では佐藤信人が優勝した。芥屋はベテランの湯原信光が10年ぶりに勝った。下関と袖ヶ浦は豪州の選手が優勝。 この4試合を見ると、ベントで育った若手プロは佐藤信人だけである。他のプロは頭から苦手意識を持ち続けている。 どんなグリーンであっても、勝つためなら研究するものだが、若手のプロの中で、谷口徹と片山晋呉以外には勝つ意識が見られなかった。 ギャラリーが最終日に1万人を越えたのだから、いい試合を見せて欲しかった。 |