日本プロゴルフ協会(PGA)の新役員が決まった。会長に長田力氏(福岡)、副会長に倉本昌弘氏(東京在住)、石井秀夫氏(東京在住)という三役である。 長田氏は福岡にいるため、事実上の活動の中心は、倉本昌弘氏といわれる。今後は、彼が中心になって、PGAをまとめ、スポンサーへの広報活動に走り回ることになる。 倉本氏はPGAからゴルフツアー部門を切り離した一人というより、主役だった。PGAはこのために2つに分断され、新しくトーナメントセクションである日本ツアー機構(JGTO)が設立され、トーナメント運営の権利をPGAから取り上げた。 こう書くと、切り離した張本人が、今さらなぜPGAの副会長になったのだ?という素朴な疑問をもたれる人が少なくない。古巣に戻ったわけだから、JGTOの会員たちからは裏切りだ、という声も聞いた。 ところが、倉本構想は、不況下のツアーを、何とか元のPGAの下に置き、独立運営において、日本プロゴルフ界を一本化しようというものであると聞く。 もともと、JGTOの切り離しは、選手たちのPGAからの拘束への反発から起きた。 ツアーで戦う選手たちに対して、PGAの会員(約3,000人)の発言が強く、総会においてはPGA会員の決定に従う、という辛い事情があった。そこには、選手たちの会である選手会が強く反発したが、同じPGA総会の決定には従わざるを得ないため、ツアーで骨身を削って戦う選手たちには不満の声が高まっていた。 そこに、PGAからの独立運営ということで、別法人であるJGTOがスタートし、PGAの干渉を振り払った。 そこまではいいが、逆風が吹く中で、PGAとJGTOとの対立、いがみ合いは根強く、スポンサー離れは年々増えていった。聞くところでは、2003年も5試合がなくなるといわれる。 これではツアーで生活する選手たちの多くが失業状態になりかねない。そこで、「やはりPGAは一本化すべきだ」との声が持ち上がった。 しかし、互いに血を流した者は、「覆水盆に返らず」で、簡単には合流できない。 倉本氏らの新体制は、その点、融合できる環境にある。 PGAの一本化に向けて、どういうビジョンを打ち出すのか、新構想を打ち上げる必要がある。できれば、PGAツアーに一本化し、同時に運営は独立したまま、という状況が生まれるのかどうか。 全てアメリカ流のやり方がベストとはいえない。日本の文化に合った新しい構造と手段を見せてほしい。 |