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坂本直子、2004大阪国際女子マラソン・優勝
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vol.185(2004年1月28日発行)
【杉山 茂】トップリーグは「総てが最高」を目指せ
【早瀬利之】モンゴメリーがヨネックスと契約など、クラブ契約変更で気分一新のプロたちに注目
【賀茂美則】大切にしたい佐々木の希望
【佐藤次郎】迫真の勝負が見たかった
vol.184 2004年1月21日号「日本女子バスケットボールの快挙」
vol.183 2004年1月14日号「有料独占放送の・・・」
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トップリーグは「総てが最高」を目指せ
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 ラグビーのトップリーグが最初のシーズンを終えた(1月25日、優勝・神戸製鋼)。

 各スポーツが次々と「日本リーグ」を発足させ、成熟させてきたのを横目に、このスポーツ独特の理念もあって、見送られつづけてきた事業だ。

 ファン側からすれば、待望のスタートで、関係者も「内容的に70パーセントの出来」(宿沢広郎氏、日刊スポーツ)と、まずまずの評価を与えている。

 焦点の1つ、集客は、早稲田、明治大学がらみのカードを代表とする「大学」の勢いには、まだ及ばない。

 ラグビーは、技術的な水準、内容の濃さよりも、“伝統の力”が健在なことは、シーズン前から予想されていたが、終盤はともかく、昨秋から年末にかけてのスタンドは、先行きに不安を抱かすような状況だった。チーム数を濃縮して2回総当りする策も考えてよいのではないか。

 トップリーグのチームにファンが付き、「大学」とは別の流れを生む期待がかかるが、その時、今度は「大学」側に、新たな課題が生まれる。

 各スポーツとも、同じ経過をたどり、今では「大学」の火が細々としているが、ラグビーは“両者共存”の道を見つけ出し、歩んで欲しい。

 このあと、クラブや社会人にまで参加枠をふくらませ22チームで争う新方式の日本選手権(2月7日〜3月21日)、トップリーグ8強によるカップ戦「マイクロソフトカップ」(2月8日〜22日)がつづく。タイトルの分散は、当分なじみにくそうだ。シーズンを通しての最高のフィナーレをどの大会がつとめるのか、いずれ検討を迫られよう。

 観客のマナーも気になる。最終日の秩父宮でも、楽しさを欠く声が飛んだが、最近はラグビーに限らず、底の浅いホーム・アンド・アウェイ意識が強くなりすぎてはいないか。

 どちらのチームにも肩入れせず、じっくりそのスポーツの醍醐味にひたりたいと思うファンは少なくないのだ。

 トップレベルの充実を追うばかりでなく、取り囲む総てが最高であってこそ、最上位リーグであろう―。

モンゴメリーがヨネックスと契約など、
クラブ契約変更で気分一新のプロたちに注目
(早瀬 利之/作家)

 今シーズンからクラブ使用契約をかえたプロゴルファーたちは、気分一新である。この2週間で、クラブ使用契約をかえた者に、谷口徹、外国人プロではコリン・モンゴメリーがいる。この2人ともキャラウェイに斬り捨てられた。

 その1人、モンゴメリー(スコットランド)はキャラウェイから日本のヨネックスニかえ、初のメジャー優勝に意欲を燃やしている。先日22日、都内の全日空ホテルで記者会見が行われた。その席で、友人のスコット・ホークに紹介されて、日本のクラブメカー、ヨネックスと契約した。「日本製のクラブは最高。わたしはこのクラブで全英オープンに勝つ自信がある」と語った。

 谷口徹も、キャラウェイを使用していたが、今年からテーラーメイドクラブにかえ、同じく国内のメジャー優勝を狙っている。

 クラブの切りかえは、1人で戦うプロたちにとっては心強い味方である。名刀で戦さに出るような心境だ。

 今年のクラブ市場は、チタン対カーボンの戦いになった。カーボンクラブを市場に出したメーカーは、横浜ゴム、ヨネックス、ブリヂストン、キャラウェイ、テーラーメイド、マルマン、ミズノが代表的。

 一方のチタンのエースはSRIスポーツ。他にダイワ、エスヤードがあるが、SRIスポーツのゼクシオ、スリクソンンはベストセラーが続き、素材開発では注目される。

 それにしても、年間30万本のウッド販売を目指すキャラウェイが、契約プロ放出に出たことが気になる。一説ではスポルティング社を170億円で買収したシワ寄せのせいだと言われるが、それとは別に、新たなスタートを切るプロたちを、見守りたい。

大切にしたい佐々木の希望
(賀茂 美則/スポーツライター/ルイジアナ発)
 シアトルマリナーズの佐々木主浩投手が日本のプロ野球界に復帰するという。日本に残している家族と少しでも長い時間を一緒に過ごしたいという理由からだ。
 
 僕はこのニュースを聞いて、「日本人が大リーグでプレーするということは、こういう影響も及ぼすのだ」と感心した。
 
 家族の支援があってこその仕事、という意識が徹底しているアメリカでは、大リーグの選手や監督と言えども、一番の優先順位は家族にある。たとえシーズン中であっても、家族が病気になれば試合を休んで看病するのが大リーグ流である。野球は「たかが仕事」なのだ。
 
 日本ではこうは行かない。昨シーズンの終盤戦、阪神の星野監督は母親の死を隠し、葬式を欠席して指揮をとった日に優勝を決めた。過去、アメリカに残した家族が病気になり、日本でのシーズン中に帰国して非難を浴びた外国人選手もいた。日本では、「たかが野球」とは行かないのだ。
 
 今回の佐々木の決断は、4年間の大リーグの経験を経て、佐々木が「たかが仕事じゃないか。セーブは他の誰かでもできるが、父親は自分にしかできない」と考えるようになった表れだと思う。そして、僕はこの考えを支持したい。
 
 つい先頃、元ヤンキーズのクレメンスが引退を撤回し、ヒューストン・アストロズと1年契約を結んだ。奥さんと子どもが住むヒューストンでなら、家族と一緒に生活をしながら野球が続けられるので、ここで野球人生を終えたい、と考えたようだ。
 
 ニューヨークであれだけ派手に引退セレモニーをし、「一生ヤンキーズの一員でいたい」などの発言をひっくり返したのだから、特にニューヨークのメディアからは批判が多いことも事実だ。
 
 過去、中日との契約を反古にしてレッドソックスに移ってより高給をとったミラーなど、「家族」を表向きの理由にして自分のわがままを通す例も確かにある。
 
 ただし、佐々木の場合は日本に戻ってきても、マリナーズ時代の総額約10億円を越える年俸をとれるとは思えず、金銭的にはトントンかマイナスになる。肘の故障を抱えて大リーグでやっていくには不安があったという見方があるが、それは日本でも変わらないことは佐々木自身が一番良く知っているはずだ。

 日本人の大リーグ選手と家族と言えば、忘れられない光景がある。去年のオールスターゲームに初出場したやはりマリナーズの長谷川投手がホームラン競争の間、球場の芝生に座って、自分の子どもと楽しそうに過ごしていた姿である。佐々木がこの映像を見たかどうかは知らないが、見たとすれば寂しく感じるのが父親として当たり前だろう。
 
 プロ野球選手とは言え、一人の人間である。家族と一緒に過ごす権利は保証されるべきだ。家族を大切にする、という佐々木の希望はもっともなものなのだ。いろんな憶測は横に置いて、佐々木の帰国を温かく見守ってやりたい。

迫真の勝負が見たかった
(佐藤 次郎/スポーツライター)

 大阪国際女子マラソンを大いに楽しみにしていた。アテネ五輪出場をかけた、選り抜きのトップランナーたちの激突である。どれほどすごい展開になるのかと、胸躍らせてスタートを待ったスポーツファンは少なくなかったはずだ。

 だが、実際のレース内容は期待外れなものだった。これほどの大一番なのに、自分の力を出し尽くしてギリギリの勝負を仕掛けようという迫力が有力選手たちからあまり伝わってこなかったのである。
 
 スタートからの5キロごとのスプリットタイムは、10キロまで18分半ば近くにとどまっていた。その後も中間点をとうに過ぎた25キロ過ぎまで、17分半ばまでしか上がらなかった。これほどのメンバーが集まった最先端のレースとしては、いかにもスローと言わねばならない。その結果がどうなったかといえば、優勝した坂本直子は後半一気にペースアップする鮮やかな走りを見せたものの、あとの有力選手たちは2時間27分台、あるいは30分を切れないという不本意な走りでゴールに入らねばならなかった。
 
 大会史上最低の気温と、やや強めの風という悪条件はあった。そうでなくとも、ハイレベルのマラソンというものがどれほど厳しく難しいかも考えねばならない。が、当初から好タイムがまったく望めないほどのペースに落とさねばならないほどの状況だったのかというと、そこには疑問が残る。
 
 代表権をかけたレースだから勝負に徹したのだと出場者たちは語っていた。しかし、タイムの出やすいコースだからこそ大阪を選んだ選手も多いはずだ。ここで好記録を出せば、優勝者だけでなく、2位までが代表に選ばれる可能性もあったのである。なのに、最初から勝負や駆け引きばかりを考えた消極的なレースをしてどうしようというのか。有力選手たちはみな、2時間20分から22分程度で十分に走り切れるだけの練習を積んできている。寒さがあったとはいえ、序盤からもっと積極的なレース運びをしていれば、結果はまったく違っていたかもしれない。
 
 序盤がスローなら後半に力を出せるというわけではない。自分の力に合ったペースよりも遅いと、かえって体が動かなくなる場合があるのはよく見られるところだ。レース後、敗れた選手たちのサイドからは「遅いペースで足に来た」「スローでリズムをつかめなかった」といった声が出ていた。寒さや勝負を意識しすぎて消極的になった段階で、彼女たちはもう自らの可能性をひどく狭めていたと言えるのではないか。
 
 マラソン競技は最近、男女とも飛躍的な進化を遂げてきた。最初から速い平均ペースで押していって、しかも後半の落ち込みを最小限に防ぐという積極的な走りが一気にレベルを上げたのだ。トップクラスのマラソンというものは、もはや牽制や駆け引きを駆使する耐久レースではない。単純に言い切ってしまえば、他の選手との勝負というより、いかに自分の力を100パーセント近く出し切るかの勝負になってきているのである。実際、今回出場した有力ランナーたちも、これまではそうしたレース運びで好記録を出してきている。寒さがあったとはいえ、この注目の大舞台で進化したマラソンが見られなかったのは残念としか言いようがない。
 
 いまの女子のトップランナーたちは、みな驚くほどのハードな練習を積んできている。質量ともに男子に近づくほどの内容である。だが、いざレースに臨む段になって、思い切った勝負を仕掛ける気概が薄れてしまえば、そうして培ってきたものも花咲かせることはできない。男女とも、残る選考レースでは、自分を出し尽くして勝負しないではおかないという気迫をぜひ見たいものだ。


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