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100号記念メッセージ

■vol.130 (2003年1月22日発行)

【杉山 茂】難題多い国体へのビッグスター参加
【今城力夫】貴乃花引退に考えること
【市川一夫】競技施設の運営民間委託化の動き活発


◇難題多い国体へのビッグスター参加
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

今月25日から、群馬県伊香保で開かれる国体冬季スケート大会に参加を予定していたスプリントのビッグスター、清水宏保(東京・NEC)が体調不十分で出場を見送ることになった。来月1日からの冬季アジア大会(青森)を控えるとあっては、ムリも云えない。

トップクラスの競技者に国体へ参加して欲しい、とは、冬季大会に限らず、夏・秋季大会でも、近年、望み続けられているが、彼(彼女)らを囲む国際カレンダーとの調整などで、話が進まない。予選免除など措置も緩和されているが、難しいのだ。

一方で、トップクラスにとって、国体が魅力のないものになってしまっているのも見逃せない。

特に、個人競技では「前例にならって、日程を消化しているだけ」という印象が植えつけられ、パフォーマンスを見せる、見る(見てもらう)"状況"が整ってないのも、国際レベルの競技者にとっては不満のようだ。海外で実績をあげる選手が、国体や全日本学生選手権に出たいというと仲間から冗談半分に「こんなタイトルも欲しいの?」と冷やかされ、遠のくようになる、と聞いたこともある。

ウィンタ―スポーツは、シーズンが限定されるだけに、いっそう国体のグレードは下がってしまうが、それだけに、清水が登場を前向きに考えていたのは、歓迎されることだった。惜しい。彼が滑るなら、と取材の準備をしていたマスコミも、大会への興味を薄くさせてしまいそうである。

実力者が脚光を浴びるのは勝負の世界では当然だが、その質量が貧弱な日本のスポーツ界は、1人の競技者の"去就"で、マスコミの熱度が、極端にまで変わってしまう。情けない。

スター偏重という批判もあるが、全般的な層の薄さが問題ではないか。

ハイレベルの展開から誰が飛び出してくるか分からない欧米風のスリルを国内で感じさせてくれるのは、女子ロードレースだけ、と言ったら、言が過ぎるだろうか。今年から来年にかけて、アテネ・オリンピックの代表争いが激しくなる。

どのスポーツにも、小人数のスターに頼らぬ厚みのある"戦い"を期待していたい。

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◇貴乃花引退に考えること
(今城力夫/フォトジャーナリスト)

"やっと"と言うか、"とうとう"と言うか、大相撲の横綱貴乃花が引退を決意した。

多分、本人の気持ちと相撲協会の思惑と両方のことを考慮しながら随分悩んだことだろうが、何か一つスッキリしないものを残したのも事実ではないか。彼は「非常にすがすがしい気持ち」と記者会見で言っていたが、実際にはホッとしたのが本心であろう。

横綱に昇進したら後は引退しかないそうだが、土俵上の怪我"公傷"とはいえ何度も場所を欠場したり、また、一年以上も休んだままでは、横綱としての責務に欠けるような気がしてならない。延々と続く不況の中で一般のサラリーマンだったらとっくに首か左遷されている。やはり、引退が遅きに失したことは否めない。

私は彼の相撲人生の美学に対する考え方が結局解らなかった。彼の昇進のスピードやその時の年齢、また、優勝回数などから見ても、大相撲の歴史に残る上位の成績を残した訳だし、並の力士ではなかった。美しい人でファンも大変多かったようだ。唯、最後の部分で彼の現役力士時代をちょっと汚してしまった。今から言っても間に合うことではないが、願望を込めて言わせてもらえば"美しく引いてもらいたかった"ような気がしてならない。

引退後の報道は、新聞もテレビも殆ど決まったように"おつかれさま"や"ご苦労さま"であった。ここ一、二年は彼に対するあまり好意的な報道は少なかったが、である。

よく思うことだが、この国は結婚式と葬式で、誰でも勉学優秀な人間になってしまう。それが真実なら、日本中が秀才になってしまいそうだ。報道も気をつけて接してないと、良い時は誉め称えるが、情勢が悪化してくると、有無を言わさずバッシングに遭ってしまう。元首相の田中角栄の時は特に酷かった、と記憶している。

今回、貴乃花関の引退後の報道には、私の想像以上に紙面が割かれたり、時間を費やしていたように思う。そうであれば、もっと彼の相撲人生自身全体を分析した書き方があってもよかったのではないだろうか。

それにしても、角界は今後どんな道を歩むのだろう。

ハッキリ言って、大相撲の横綱が全部外国人では、ちょっと悲しい。押しは相撲の基本と言われたことがあるが、図体が大きくて重いが為に、ただ押すだけで勝利していたような力士が目立つようになってから、相撲が面白くなくなった。

やはり、優れた技で見せてくれるようでなければ、観戦している価値がない。相撲協会は、近代的で、力士にもファンにも魅力ある相撲界の発展を考える時が来ているのではないのか。

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◇競技施設の運営民間委託化の動き活発
(市川一夫/スポーツライター)

自治体が所有管理するスポーツ施設が今軋みをあげている。収入に対する支出が大幅超過、過大な赤字を生むからである。

90年代から、世界規模の国際競技大会を開催する為、国際規格の大規模競技施設が各地に誕生した。W杯開催自治体である、北から札幌、宮城、新潟、さいたま、横浜、静岡、長居(大阪)、大分などである。

専門家によれば殆どの施設が支出を1とすると、収入は0.3程度で大幅赤字決算であり、その支出は、巨大スタジアムの横浜、宮城各6億、静岡、長居各4億(何れも単年度、関係団体調べ)という状況にあるという。

その理由としては、まず、収入を度外視した建設、運営コストの為、支出に見合う収入が確保されていないこと。そして、公共施設利用に際して、幾つもの使用料減免措置が適用され、低料金で使用されるケースが多く、民間が営利目的にて使用するイベント(音楽コンサート、プロ格闘技大会など)でのみ、通常料金が適用されることなど、コスト無視の運営であることが挙げられる。

その結果、累積赤字が嵩み、税金が投入、補填されるのである。多くの市民は一度も利用したことのない施設の維持、管理の為に税の負担を強いられているのだ。

現在、地方自治法では公共施設管理は自治体若しくは自治体などが出資する第三セクターに限定されている。しかし、何十年に一回しか開催されないような国際大会の為に建設された巨大施設の維持、管理を自治体、三セクが効率的に運営できるであろうか?最初から諦めているのが実情だ。親方日の丸に長年慣れ親しんできた組織が、経営感覚を持ち、努力する土壌がないのである。

悲鳴をあげる自治体の現状に対し、総務省では民間委託が出来るよう、地方自治法改正に向け準備中である。首都東京では鈴木都政時代に巨大な箱物を建設したが、軒並み年間5億から10億の赤字という有様で、石原知事は非効率施設の閉鎖や、日本初のネーミングライツ(施設に冠企業名を付けること)を導入(東京スタジアムは味の素が冠企業契約した)するなど、大改革を断行中である。

また、特殊法人が運営する国立競技場においては、2年後の独立行政法人化を目途に、民間企業に委託するための検討に着手したが、スポーツのメッカである国立競技場でさえ、支出に対する収入比率は4割と推定されている。

先ごろ国立競技場のホームページを見て驚いた。民間企業の決算諸表(商法上、上場企業に義務付けら決算諸表の公開)以上に精密な経営分析資料が開示されているのである。これらの数字を精査しても、結果的にコスト無視の経営であることが随所に見られた。

さて、自治体経営の改善が今漸く始まったが、スポーツ、文化施設とて例外でない。パブリックサービスに名を借りた放漫経営のツケは全て納税者が負う事になるのだ。

民間企業委託と簡単に言うが、果たして利益が出ない事業を受託する企業が存在するであろうか?多くの市民が日常利用するスポーツジムやプールは、経営モデルが出来ているので、名乗りをあげる企業も多いと推測されるが、巨大スタジアムのような施設は容易ではない。

企業は生き残りを賭け、ひたすら利益指向に走っており、放漫経営の尻拭いをするほど甘くは無い筈、むしろ、自治体自らスクラップアンドビルトなどの自助努力を行うことが問題解決の道筋を示すことになるのではなかろうか?

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