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 第10回Vリーグ男子
 優勝決定2回戦 サントリー×JT・サンダーズ
優勝サントリー・サンバーズ
(C)photo kishimoto

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vol.191(2004年3月10日発行)
【杉山 茂】気になる「スポーツくじ」への意識
【早瀬利之】宮里藍、2004年開幕戦V。兄妹コンビで、地元プレッシャーに勝つ
【佐藤次郎】「ナガシマ」の大合唱はもうやめよう
【高田実彦】長嶋さんをダウンさせたのは・・・
【市川一夫】またしても天下りの意味を問う

vol.190 2004年3月3日号「チャンピョンは全国リーグで・・・」
vol.189 2004年2月25日号「スポーツマン、シニア世代の・・・」
vol.188 2004年2月18日号「すっきりしないアテネ五輪・・・」
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気になる「スポーツくじ」への意識
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 多くのスポーツ団体の04年度予算は、収入で、前年比マイナスを打ち出している。「スポーツ振興くじ(toto)からの配分が不安定ですので・・・」とする担当者の説明に、苦笑さえももれない。もはや、あきらめのムード、ともいえる。

 景気よくスタートしたこともあって、各団体は、それなりの“収入”(助成金)を得て、新しい事業が手がけられ、いい風へ乗りかけたのだが、支援が見込み薄となれば、後戻りするしかない。

 助成額は02年度約58億円、03年度約26億円、04年度は収入からはじき出せず10億円ラインを割りそうだ。

 売り上げの伸び悩みについては、意見が出つくしているが、配分にありつこうとするスポーツ界の「くじ」への関心が、高くないもの、問題ではないか。

 もともと、スポーツ社会は、タテ割りで、外部の動きへの反応は小さい。「くじ」も同じだ。自分たちの台所へはね返るのだから、興味を示してもよいのだが、“サッカー”を対象にしているからでもあるまいが、他の競技関係者には疎遠感がのぞく。

 それでいて、補助をめぐるとなると目の色を変える。日本体協理事会(3月9日)は役員が率先して購入を、と、申し合わせたが、皮相的だ。

 “売る側”は、これまで以上に親近感を、と先週末は、初めて規程の場所とは別にサッカーのビッグイベント会場での販売を試みた。

 売り上げ(投票枚数)は413枚・17万5400円と発表されたが、この日の観衆は3万人、もう少し売れてもいい。サッカー会場がこれでは、出張セールスの前途も楽ではなさそうだ。

 的中賞金の払い戻し額が最大2億円に増えたと宣伝しても、という意外に「くじ」を買う楽しさやスポーツ振興のアピールがあまり考えられないのは、気になる。

 ホームタウンサービスを盛り込んだ特別販売や、予想遊びのテレビ番組提供などのほか、サッカー以外のスポーツに、totoカップを提供するような積極的な乗り出しが欲しい。ソフトボールや女子バスケットボールなどtoto主催のオリンピック壮行試合といった、敏感に“時”をつかむアイディアは、いくらでもあるのではないか。

 新シーズン(3月13日開幕)も売り上げ低迷から脱け出せないようだと、スポーツ界の行動はかなり縮小され、「日本のスポーツ」の限界をさらけ出してしまうことになる―。

宮里藍、2004年開幕戦V
兄妹コンビで、地元プレッシャーに勝つ
(早瀬 利之/作家)

 沖縄はゴルフシーズンの真っ只中にある。その沖縄でJLPGAツアー開幕戦のダイキン・オーキッドがスタートし、新人プロの宮里藍(18歳)が、逆転優勝した。

 先ほど高校を卒業したばかりの「高校生プロ」は兄の優作をキャディに使って、2人で戦って、2勝目を上げた。

 今回の優勝は、地元での開幕戦とあって、測り知れないプレッシャーがあった。初日のラウンド後の夕食では家族で焼肉を食べてパワーをつけたが、胃液の不足から腹痛。最終日の朝は食事がノドを通らず、水を呑んで戦った。

 個人競技のプロの試合は、重圧で眠れない夜もある。2時間睡眠はまだいい方で、一睡もできない人もいる。宮里藍も、殆ど眠れなかったという。まして18歳の新人。また地元声援に応えなくてはいけない、と考えると、不安は数倍にふくらむ。

 そんな藍を助けたのは、キャディをつとめた兄・優作である。スタートホールでボギーを叩くと「ボギーのひとつくらいくれてやれ」といって励ました。また肩に力が入っていると、肩を揉んでやったり、緊張していると、ジョークを飛ばしてリラックスさせたりした。圧巻は17番ミドルホールのバーディである。ここで肥後かおりと2打差となり、勝敗が決まった。

 私は「ゴルフスタイル」誌に「風の兄弟」という小説を連載中だが、8年前から宮里家に出入りしていた頃から書き出している。藍ちゃんがまだ小学校6年生だった。「何ごとも努力」「勉強一番、ゴルフは2番目」と教育してきた父・優さんの指導は、普通の子育てだが、逆境の中で、子どもたちは花を咲かせた。

 何よりも、藍ちゃんの優勝は、「プロテストを受けなくてもプロの道を歩ける」ことを教えた。事実、彼女は推薦プロとして第1号の優勝者である。アメリカではタイガー・ウッズが、同じ道でプロになり王者になった。

 日本では、女子プロ第1号の人たちが、推薦プロの形でスタートした。その1人が王女の樋口久子だった。その意味では、「何でもテスト、テスト」のやり方は、いいプロを育てない、ことを教えている。

 今後も、中学、高校生たちは、男女とも、そうした道で、自分の道を切り開ける。したがって、プロテスト制は、廃止すべきである。まして年1回のテスト制はよくない。やるなら年2回制にして、チャンスを与えるべきである。できれば廃止して、「自己宣言」制にし、ツアー出場資格のテスト制にすべきだ、と提案したい。

 ツアーに出られない人は「プロとして指導に当たる」といったレッスンプロ制度を設けるなど、たくさんのプロを育てる方法を考えて欲しい。これは男子プロゴルフ界にも言える。

 もう1点は、スタープロを海外に出さないような環境を作るべきである。男子プロは若者が賞金の高いアメリカツアーに出てしまい、国内ツアーはスター不在の現状であることを、深く反省して欲しい。

 女子プロ界では、賞金1億円をプロデュースすることも急務である。

「ナガシマ」の大合唱はもうやめよう
(佐藤 次郎/スポーツライター)

 どこを向いても「ナガシマ」「ナガシマ」の大合唱である。病に倒れてからも、長嶋茂雄氏の名がメディアに登場しない日はない。ことにアテネ五輪に関しては、「監督は長嶋さんしか考えられない」「病床からでも指揮を」などと連日かまびすしい限りだ。
 
 いったい何を騒いでいるのかと思う。軽くない病状で倒れた人物のことである。いまはただ治療と回復だけを考えるのが当たり前ではないのか。
 
 確かに、五輪代表チームのシンボルとしてこれほど印象度の強い人物はいない。とかく難航しがちな代表チーム編成も、この人がいればまとまるに違いない。そうしたこともあって、関係者は「長嶋さんしかいない」と声高に叫ぶのだろう。
 
 しかし、重病で倒れて間がないのに、オリンピックのことばかりを言い立てるのはいかがなものだろうか。病状はまだ定かでなく、いずれにしろ相当に長い療養期間を慎重に過ごさねばならないはずだ。それなのに、病状そっちのけで「長嶋さんでなくては」などと言うのはどうもおかしい。
 
 それに、五輪チーム監督にふさわしい人物は他にもいるはずだ。長嶋氏ほど目立つ存在でなくとも、五輪の指揮をとるのにふさわしい能力と経験を有している野球人は少なくない。それなのに、「ナガシマ」「ナガシマ」の大合唱ばかりが聞こえてくるのには、どうも違和感を感じる。これは、長嶋氏の並外れた人気を利用し、それにあやかろうとする向きが多いのを表している、ひとつの例なのではないか。
 
 長嶋氏の人気の高さは圧倒的なものだ。それはもちろん本人の魅力によるものだが、そのスーパーな人気や知名度に便乗したい、あやかりたいという周囲や関係者があおってきたという側面もあるように思える。この巨大な存在にぶら下がろうとする人々がずいぶん多いということだろう。そこで、このように深刻な病気で倒れた時までも、「長嶋さんでなければ」といったような声が出てくるのではないか。
 
 これまでも、ことあるごとに「長嶋さんをコミッショナーに」などという主張が出てきていた。そうした役職に本当に向いているかどうか、本人の意思がどうなのかもはっきりしないのに、だ。やはりこれにも、長嶋人気を利用し、そこに便乗したい人たちの声がかなり含まれていたのかもしれない。
 
 いずれにしろ、まずは治療と療養。そして体調が戻ったら、長嶋さんにぜひやってもらいたいことがある。「語り部」になってもらうというのはどうだろうか。
 
 これまでの長い野球人生の、さまざまな経験と思い出。それを思いつくまま、いろいろな機会をつくって詳しく話していってもらいたいのである。ファンは意外とこのスーパースターの実像や肉声を知らない。プロ野球の現場にいるうちはそうもいかなかったろうが、これからはもう自由自在に語ってもらってもいいはずだ。
 
 ひとつひとつが、わくわくするようなエピソードに満ちているだろう。野球好きだけではなく、これまではあまり興味を持っていなかった人々もひきつけるだろう。何より、スポーツ好きの少年たちを魅了し、野球へと呼び寄せるだろう。野球界にとってこれほど意味のある仕事はない。
 
 彼をいろいろな形で利用しようとしたり、人気にあやかろうとしたりするのはもう終わりにしたらどうか。そして、みんなでこの語り部の高くてよく通る声に耳を傾けようではないか。

長嶋さんをダウンさせたのは・・・
(高田 実彦/スポーツジャーナリスト)

 脳梗塞で倒れた長嶋茂雄さんが順調に回復していると聞いてホッとしているが、誰しもが思うのはダウンしたのは「過労とストレス」のためである。

 私が知る限り、2月の長嶋さんのスケジュールは相当な過密だった。なかでも、毎年のことながら、「いい加減にしたらどうか」と思ったのが、「青梅マラソン」のための帰京である。

 長嶋さんはキャンプ地巡りの真っ最中の2月14日夜、宮崎から最終の航空便で東京に帰って、“長嶋さんでなければ絶対にいけない”とは思えない同マラソンのスターターをつとめた。

 市民マラソンを軽視するわけではないし、長嶋さんが読売グループの“お抱え”になってから毎年やっているから参加者が期待していただろうが、日本に1人しかいない五輪監督として、また本職である評論家の仕事の真っ最中に、わざわざ自社事業のために呼び戻すほどの仕事か? 長嶋さんはその夜、九州へトンボ返りしている。

 ついで自分勝手だったのは、球団関係者である。

 そのころ、長嶋さんにピッタリ同行取材していた友人のフリーライター柏英樹さん(元報知新聞)が、ふと、こんなことを言っていた。

 「プロ野球機構のある人が『ミスターが12球団全部を回る』といって、その談話が新聞に出ちゃったから12球団を回らざるを得ないんだよね。ほんとは、ミスターもボクも、全球団は回るには無理がある、と思っていたんだ」

 機構関係者が「12球団全部を回る」といった裏には、次のような事情がある。

 五輪代表選考の「1球団2人」のワクが撤廃されなかったのは、実は、選手をたくさん出す球団の気持ちを忖度してではなく、逆に「1人も選ばれないかもしれない球団の気持ち」を忖度した結果だった。そういう球団関係者は「選ばれなかったら格好悪い」と思っている。“公平”な基準にせざるを得なかった、というのがワクが撤廃されなかったことの真相である。

 長嶋さんはその真相や裏側をよく知っている。だから、行かなくてもいい、と考えていた球団へも、“公平”に足を向けなければいけないと思って無理をした。長嶋さんはそういう人だ。まして球団首脳部が「12球団を回る」と公表しているとわかっては、疲れ果てても回らないといけない、と覚悟を決めたのだったろう。

 私は2月10日、宮崎の巨人キャンプ地で長嶋さんに会った。長嶋さんは練習が終わってから、雑誌とラジオ2局のインタビューをまとめてこなしていた。色つやがよく声にも張りがあって元気そうに見えたが、そのころからじわじわと体を傷めていたのだろうか。

 読売グループは、巨人軍永久監督としてなにがしかの年俸を払っている。払っているがために“使用人意識”がある。だから、長嶋さん側の事情の変化にお構いなしに、単なる自社事業のためにトンボ返りさせた。

 球界首脳陣は金も出さずに、何から何まで、完全におんぶにだっこ。

 長嶋さんをダウンさせたのはあんたたちである!

またしても天下りの意味を問う
〜2007世界陸上大阪大会組織委員会事務総長に
元文部省高級官僚就任〜
(市川 一夫/スポーツライター)

 いささか、旧い話を例に引く。98年パース(豪)で開かれた水泳世界選手権大会の事務局長ミセス、リン・ベイツは元五輪水泳選手であった(現在はオーストラリア水泳連盟会長)。

 彼女と私は70年後半から80年代にかけ共に仕事をした間柄であったので、大会期間中は何度も話をする機会があった。レースが終わった深夜、互いにビール片手に『ハードワークだね!』との私の問かけに、『選手がベスト・コンディションで泳げるようにするのが私の仕事よ』と、彼女は笑って答えてくれた。誠におおらかなオージーである。

 さて、先ほど日本では第3回(1991)東京に次いで2度目の開催となる、第11回(2007)陸上世界選手権・大阪大会組織委員会事務総局長に逸見博昌氏(71歳)の就任が内定した。

 氏は元文部省体育局長から旧特殊法人日本学校・体育健康センター理事長に天下り、その後別の財団トップを経ての今回の就任である。これは、長野冬季五輪組織委員会事務総長の小林実氏(旧自治省)、2002サッカー・ワールドカップ組織委員会事務総長の遠藤安彦氏(旧自治省)に続く、高級官僚の国際スポーツ大会組織委員会トップへの横滑りである。

 小泉改革の目玉として天下りや渡り鳥を廃止し、官庁と公益法人の癒着を徹底的に無くすという掛け声は何処へ行ってしまったのか?

 確かに大会規模、予算の大きさなどからして組織委員会事務方トップに元官僚が就任し、総合調整機能に手腕を発揮することも必要とされることも多かろう。所管官庁の有力OBが就任すれば行政側の協力度が高まり、規制も拡大解釈し適用されることは容易だ。

 しかし、このような考え方、役人依存は諸外国では余り聞いたことが無い。裏返せばそれだけ官の権限や規制が多いことの証明ではなかろうか? この官僚依存体質が、いつまでも日本のスポーツの自立を妨げていることを自覚するべきだ。

 今後も、多くのスポーツ国際大会が日本において開催されることが予想されるが、その際に民間の実務家が取り仕切り、手腕を振るえる環境作りこそが官の仕事であると思う



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