4月に高砂市(兵庫)で行われた社会人野球大会は、全試合とも「7回」で行われた。
参加12チームが、いわゆるクラブチーム中心で、そのための“対策”かと思えたし、硬式野球の社会人クラブ育成の“施策”かとも思えた。
ところが、どうもこれは「7回」制の採用を図る“実験”の1つだったようだ。
「7回制は、クラブにとって1日2試合を前提とするなら賛成だ」と7チームがアンケートに答えたことが、これほど各紙で報じられたのである。
社会人球界は、次々と企業チームが活動を休止し、都市対抗優勝チームさえ、その年に廃部が明らかにされたほどだ。
硬式愛好者がクラブに集まりはじめたものの、厚い選手層を整えることは望むべくもない。 そこで、クラブ部門は「7回」で、という苦肉の策が考え出されたのだ。
それはそれでいい。高校野球の熱狂の割には、硬式の社会人チームは、これまであまりにも少なかった。成年の硬式野球は学生界かノンプロ(企業球界)か、セ・パ両リーグに限られていた、とさえいえる。不思議ではあった。
ところで、この「7回」制、いっそ総ての分野で“実験”してみたらと皮肉まじりの声も少なくない。
プロ野球の時間お構いなしのような「9回」制は、テレビ局の番組編成を悩ますばかりではない。
ナイトゲームの見物は帰宅時間を気にして、エンジョイどころではない。
アメリカのスポーツビジネス最前線に近い友人は「大リーグのオーナーのなかには、7回説を唱える人が少なくない」と教えてくれた。
7回ならば、投手陣を先発―中継ぎ―抑え、とかかえなくてすむし、完投型が増えれば助かる。野手の控えも少なくていい。人件費が球団経営を圧迫する現状からすれば、なんと効率的、合理的か、と―。
日米では、ニュアンス、レベルとも違いすぎるか、不動に思えたベースボールの規則に、変革の風が、まったく吹き込んでいないわけではないことが興味深い。
さて、「スポーツアドヴァンテージ」も、最初の配信から今週で200号。約4年間に内外スポーツ界は、いくつもの大きな揺れをのぞかせ、刷新を求めて動いた。
立ち止まらないスポーツ界をこれからも望み、そこに注目のペンを走らせたい。いつまでもご愛読を―。 |