国際スケート連盟(ISU)からフィギュアスケート部門が離れ、独立した国際連盟を発足させる動きが明らかになった(3月24日)。
国際スポーツ組織の"分裂"は珍しいことで、今後の動きが注目される。 発端は、1年前のソルトレークシティ冬季オリンピックにおける"フィギュア・スキャンダル"にある。
ペアの採点をめぐって不正な取引があると、騒ぎがおき、国際オリンピック委員会(IOC)は、2位になったペアにも金メダルを与えるという混乱を重ねたあの事件だ。
ISUは、採点の公平を期すため、今シーズンから、順位決定を下すジャッジをコンピューターで無作為に抽出する方式を採用、さらに来シーズンから「順位点」を廃止、採点も減点から加点方式にすることを申し合わせていた。
ところが、このシステムにアメリカなどが激しく反対し、世界選手権(ワシントン、3月30日まで)の最中に、ISUから独立を発表するというのだから穏やかではない。
ISUには、フィギュアのほか、スピードスケート、ショートトラック部門がある(日本スケート連盟も同じ)。まったく性質の違う競技の複合体だけに、日ごろの運営は、なかなか難しいといわれる。
さらに、フィギュアスケートは、古くから、ヨーロッパ勢とアメリカ圏で、しばしば意見のすれ違いがあり、さらに採点競技の難しさも重なる。 昨年のシーズン開幕前から、アメリカを中心に抵抗がささやかれ、ソルトレークシティのしこりを感じさせた。それでも、独立を策すとは予想外で、どのくらいの国が同調するのか、"新組織"がIOCなど国際スポーツ機関に承認されるのか、など不明な部分も多い。
日本が、どのような行動をとるのかは、世界選手権後、国内での諸会議で話し合われるだろう。私の知っている範囲では新方式に首をかしげる空気が濃かっただけに、アメリカなどへの同調は充分考えられる。
順調に"新組織"が進んで、IOCなどの認知を得れば、日本の連盟活動にも影響してくる。 ソルトレークの一件でも、相当なイメージダウンを受けたフィギュアスケートだけに、総てにクリスタルな輝きを取り戻して欲しい。 |