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【杉山 茂】遅すぎる「ファンの力」への認識
【佐藤次郎】あの明るさをもっと


SPORTS ADVANTAGE EXPRESS 2004アテネパラリンピックレポート

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遅すぎる「ファンの力」への認識
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 テレビや新聞が伝える報道の言葉じりをとらえるのは気がひけるが、セ・パ両リーグスト決行の日(9月18、19日)、各地で行われた選手たちの“催し”に、多くのファンが詰め掛け、声援を送ったことで「改めてその力を知った」という発言を見聞して、驚いた。

 ファンは、プロ野球が誕生して以来、2代、3代にわたって、いつでも、どこでも声援を送りつづけている。

 今回の騒動で突然「力」になりはじめたのではないのだ。スト支持も声援のホンの一環である。

 選手たちの一生懸命さを知らないわけではないが、つねに「ファン第一」のスピリッツで、日本のプロ・ベースボールは過ごしてきた、と自信をもって言い切れるだろうか。

 スピーディーな進行が望まれつづけながら、いたずらに時間のかかる試合が減らず、少年たちのサインの求めには素通りし、試合後のインタビューの多くは決まり文句(聞き手の力不足も否めないが・・・)。夢を売るサービスの自覚があるのか、疑わしいものだった。

 経営側の責任もまた大きい。プロらしい攻守でファンを魅きつけているのかと、どこまで目を光らせていただろう。スタディアムに魅力のある食べ物が並び、ファミリーで出かける楽しみに工夫がこらされているわけでもない。

 ストライキによって、改めて多くのベースボール好きの存在に気づいているようでは、少々の変革を遂げたところで、いずれはまた、行き詰まり、ほかのエンターテイメントに追い抜かれることになる。

 この際、セ・パ両リーグは経営側も、選手側も総てを見直す姿勢で“再出発”の気構えを示すべきだ。

 ついでに言えば、いわゆるアマチュアとの一貫した構造も考えたらいい。オリンピックへ臨む体制も、ベースボール界全体のテーマとして対応しなければ、ダグアウトの日の丸にどのような呪文(じゅもん)を仕込んだところで、それだけの話に終わる。

 ペナントレースが再開したその日(9月20日)、セ・リーグ1、2位が対戦したテレビ中継は、待ちかねた茶の間の注目を久々に集めるかと思えたが10パーセント台に届かなかった。(=関東地区、ビデオリサーチによる)、テレビ関係者はこうつぶやいたものだ。

 「ストの日のあの盛り上がりは何だったのだろう?」ー。

あの明るさをもっと
佐藤 次郎/スポーツライター)

 やっぱり生まれついてのスターにはかなわない。そのシーンをテレビで見ていてつくづく思った。もつれにもつれた大事な試合の決着をあんな形でつけて、大観客をあれほど沸かせてみせるなんて、他の誰にできるだろうか。
 
 プロ野球初のストが明けた9月20日、壮烈な打ち合いによって二転三転の展開となった日本ハム×ダイエー戦。9回裏2アウトからサヨナラ満塁弾を左翼席にたたき込んだのは、SHINJOこと新庄剛志だった。

 今季から導入されたプレーオフ進出へ、ロッテと最後の熾烈な争いを繰り広げていた日本ハムにとって、この試合は絶対に負けられない大一番である。どんなベテランでもしびれるに違いない大詰めの打席で、初球を思い切り振り抜いてスタンドへ運んでみせるなぞ、いかにもこの男ならではの芸当と言うしかない。おまけに、走者追い越しで記録は単打というハプニングつきなのだ。なんとドラマチックで、なんと派手であることか。いや、ここはちょっと下品だが、ぜひ「ど派手」と表現しておこう。
 
 そこで思った。「こんなふうに観客を沸かせる選手が各チームに一人ずつでもいれば、それだけでもプロ野球の世界はずいぶん変わるんだろうな」
 
 スターのパワー、あるいは魅力というのは、たった一人でチームのイメージを変え、かつスタンドに観客を集めてしまうところにある。有名であれば、成績がよければいいというものではない。人々の心をぐいと引きつける個性が決め手だ。そんな選手を一人でも持つことができれば、ただそれだけで活性化への入り口になるのである。
 
 プロ野球はかつてない苦境にある。まず取り組まねばならないのが、球界全体を繁栄させるための根本的な枠組みをつくり直すことなのは言うまでもないが、一方では個性的スターを生み出していくための不断の努力も欠かせない。スターはつくるものではなく、生まれるものではあるが、そうした個性派スターを発掘し、育て、売り出していく努力や環境が、これまで十分だったとは言えないはずだ。学生や社会人の有名選手に大金を使えばいいというものではない。個性の光を見つけ、磨くのに、これまでのプロ球界はむしろ鈍感だったように思う。
 
 ところで、新庄の魅力といえば、なんといっても底抜けの明るいイメージだ。劇的一発を放った試合の前も、チームメートを巻き込んでゴレンジャーに扮しながら守備練習をやってのけ、観客を喜ばせた。新庄のパフォーマンスに関しては、必ずしも好意的な見方ばかりではないだろうが、いずれにしろ、あの明るさは間違いなくたくさんのファンを引きつけている。プロ野球界の活性化に確実に役立っている。
 
 最近のスポーツ界には、ファンやメディアに対してひどくそっけない、というより、まるで敵視しているかのような有名選手さえいる。もちろん人にはさまざまなタイプがあるのだが、プロである以上、ファンとの交流を大事にし、さらにメディアを通してもっと多くのファンとコミュニケーションをとるのは当然のことだろう。彼らのワンプレー、そしてひと言が、競技全体を大きく盛り上げる可能性はいくらでもあるのだ。

 なんにせよ、明るく爽快なのがスポーツというものではないか。

 


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