メディア王と呼ばれるルパート・マードック氏(1931年3月生れ)の「ニューズ社」がアメリカのヒューズ・エレクトロニクス社の経営権を取得したことが明らかになった(4月9日、各紙)。
ヒューズ社は、アメリカの衛星放送最大手のディレクTV(1994から放送)を保有している企業、マードック氏の傘下に入ることで、その野望である“世界衛星放送ネットワーク”がいちだんと、現実の色を濃くするものと思われる。
スポーツ放送権も一揺れありそうだ。マードック氏は、アメリカでFOX,イギリスでBスカイBを設立、スポーツ中継を売りものとして、成長を遂げた。
特に、BスカイBがイギリスのサッカーリーグ(プレミアリーグ)の放送権を手中に収めるために投じたマネーは、ヨーロッパ各国のサッカー界に旋風を巻き起こし、“有料サッカー放送時代”を招いたことは、よく知られる。
BスカイBのプレミアリーグの放送権は、01〜02シーズンから03〜04シーズンまでの3シーズンで1831億5000万円(11億1000万ポンド)というのだから驚く。
Jリーグは、1年間の総放送権料が60億円そこそこである。 マードック氏は、以前から、オリンピック放送権にも興味を示し、具体的な金額を示したこともある。
2008年北京大会までのオリンピック放送権は契約がまとまっているが、2010年の冬季オリンピック以降は、白紙だ。 マードック氏の“世界衛星放送ネットワーク”の参入は、充分に予想される。
衛星波は、地上波と違い、国境線を設定しにくい。世界を結ぶネットワークは、その特色を活かせやすい。 アメリカン・スポーツの放送権も、波風が立とう。
最近、ベースボール、フットボール、バスケットボールなどのプロリーグの視聴率が下降気味といわれる。 FOXを加えた地上波4大ネットワークの放送権争いは、以前のような燃え上がりに乏しい。
シドニーから北京まで夏3、冬2回のオリンピックに35億7000万ドル(約3927億円)をつぎ込んだNBCも、国内のスポーツから退潮の姿勢を示している。
マードック氏のパワーを得たディレクTVがどう動くか、大きな興味である。 |