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100号記念メッセージ

■vol.151(2003年6月18日発行)

【杉山 茂】 動き出した「日本スポーツ仲裁機構」
【佐藤次郎】 選手と観客をつなぐもの
【市川一夫】 元気な老人をふやそう−身体教育の重要性と実践

■ スポーツアドバンテージ 150号記念メッセージ ■


動き出した「日本スポーツ仲裁機構」
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

今春4月に発足した「日本スポーツ仲裁機構」(JSAA、本部・東京)に対して初めての仲裁申し立てが、6月16日に受理された。

早ければ7月半ばまでには、その判断が示される、という。

競技者あるいは指導者とスポーツ団体との紛争は、内外で古くから発生し、マスコミの話題になってきた。

1984年、国際オリンピック委員会(IOC)が、スポーツ仲裁機構(CAS)を立ち上げ、より中立性を確保する為にと、94年からは国際スポーツ仲裁理事会(ICAS)に移管され活動している。

シドニー・オリンピックを前に、競泳の代表選手選考でもれた千葉すずさんが、日本水泳連盟に対しての申し立てを行ったのは、この機関である。

代表選手決定をめぐる不鮮明の多くは、選考した側=スポーツ団体が、き然とした姿勢を整えぬことに起因する。作業にあたっての公平さ、決定に際しての説明不足だ。

独断の押し付けが目立ち、「情報を公開する必要はない」と云わんばかりの態度はスポーツ界の非近代性をさらけ出すばかりである。

シドニー・オリンピック前、女子マラソンのある国内レースで、テレビの実況アナウンサーが「いまや、代表決定の経過は社会問題…」と叫んでいたのには、苦笑させられたが、説得力を伴った実態が公表されれば、騒ぎは起きない。

ボールゲームでは、監督の戦略上の用兵もからみ、主観が濃くなるのはおりこみずみだ。その場合、明快な説明が“条件”なのは当然である。

JSAAは、スポーツ団体が競技者を相手に何らかの請求をするケースや、競技中の審判員による個々の判定については、仲裁の対象外としている。

当面、スポンサー契約や放送権契約などをめぐる紛争も扱わない。

JSAAの発足が、日本のスポーツ界の体質を明朗でオープンなものへと成熟する機会になるなら嬉しい。

それこそ、社会問題、であろう―。

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選手と観客をつなぐもの
(佐藤次郎/スポーツライター)

いつもテレビのニュースを見ては感心している。

米メジャーリーグで1年目の挑戦を続けている松井秀喜のことだ。毎試合後のインタビューで、いつも変わらずにあれだけ冷静かつ丁寧な応対をするスタープレーヤーは、そういるものではない。というより、他には例のないことではないか。

シーズンが始まって以来、毎試合後に欠かさず共同インタビューが行われている。映像で見る限り、松井は常に平静な表情、落ち着いた口調である。不愉快そうに顔をゆがめたり、語気を荒らげることはない。いい結果が出た日も、まったく打てなかった日も、それは変わらない。

現地で密着取材を続ける記者に聞いてみた。時には不機嫌だったり、ろくに質問に答えない日があるのではないか。嫌な顔をすることだってあるのではないか。

答えはたいへん明快だった。
 「そういうことはいっさいない。どんな時でも同じである。テレビのカメラがあってもなくても、彼はいつも同じ態度で、平静かつ誠実に答えるのである」

試合が長引いて疲れ果てることもある。急いで移動しなければならない日もある(スーツにネクタイ姿で登場する時だ)。打撃の低迷が長引いて、不本意な形のまま試合を終えることも少なくない。それでも、インタビューを受ける時の態度物腰は変わらないのだという。

きつい質問が飛ぶこともある。「フォームを変える気はないか」「もっとベースに近く立つべきではないか」。短気な選手なら「よけいなお世話だ」とでも吐き捨てるだろう。だが、松井は嫌な顔ひとつせず、きちんと丁寧に答えるのだというのが、連日取材している記者の証言だった。

日本のプロ野球やJリーグのスター選手で、こうしたメディア対応をする選手はあまりいない。人気球団ほど、その傾向が強い。活躍した時、いいことを聞かれた時ならともかく、調子の悪い日に聞かれたくない質問が出ようものなら、露骨に不愉快そうな顔をして記者をにらみつけるのが落ちだ。そうでなければ、報道陣を蹴散らすようにして無言のままどこかへ行ってしまうのである。

もちろん、選手に答える義務があるわけではない。取材側に問題がある場合も多い。しかし、メディアの一員として、またスポーツファンの一人として、選手にはできる限り誠実に答えてもらいたいと切に思う。メジャーな競技のメジャーな選手であればあるほど、自らの競技の中身について、注目しているファンたちにわかりやすく伝えてほしいからだ。

競技スポーツ、中でもプロスポーツは、プレーする選手と見る観客によって成り立っている。選手はプレーを通して自分というものを伝えようとし、観客はその思いを受け取って感動する。この両者がお互いによりよく理解し合うのに、言葉は不可欠なのだ。雄弁である必要はない。自分のプレー、自分の思いをより明確に伝えようとする意思さえあれば、たったひと言でもファンたちは選手の心意気をちゃんとくみ取る。

そうすれば、両者の絆は深まり、そのスポーツはさらに発展する。試合後のコメントというのは、グラウンドとスタンド、そしてテレビやラジオの前にいる何百万人とを結ぶ架け橋なのである。

おそらく松井秀喜は、そうしたことをずっと考えてきているのだろう。もっと若いころから、スポーツというのはそういうものなのだと考えて、そうした対応を自然に身につけてきたに違いない。真のスポーツマン、真のスーパースターというべきだろう。

最近は、メディアを批判し、ほとんど対応をしないスター選手も少なくないようだ。批判があるのは当然で、メディア側も猛省しなければならない。ただ、批判や対立が、自分をアピールするためのポーズのように思える例もまた少なくない。そんなことで、自分のプレーについてろくに話もしないのであれば、それは期待し、注目してくれるファンへの裏切りではないか。

松井とて、インタビューを受けたくない時も話したくない時もあるだろう。内心のいらだちを押さえつけることも多いだろう。だが、プロスポーツマンはこうあるべきなのだという信念と心意気が、彼を支えているのだ。となれば、メディア側もそれにこたえて節度ある取材を厳守していかねばならない。

長い打撃不調の時も、ファンが心をこめて応援を続けたのは、松井のそうしたところを評価したからでもある。そしてまた、たくましくて心やさしいスラッガーも、そんなファンの気持ちを力としているはずだ。

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元気な老人を増やそう―身体教育の重要性と実践
(市川一夫/スポーツライター)

東京近郊の格式あるカントリークラブでの話だ。同クラブはグランドシニアと呼ばれるメンバーが多い。60歳台は子供扱いだ。

ビジター3人に居合わせたメンバーである老人が加わりラウンドが行われた。 ラウンド終了後、ハウスで話が弾み、壮者をしのぐスコアでプレーした老人は何と90歳、週に3日はプレーを楽しんでいる由、同伴者は老人の壮健さに驚きつつ、わが身との比較に暫し考えた。

さて、3人に1人が60歳以上の超高齢化社会が始まった。
国民健康保険中央会平成12年度報告書によれば平成6年度から9年度にかけ1人当たりの老人医療費が全国で最も低下した自治体は長野県北御牧村(きたみまきむら)である。

主たる原因として村営温泉ケア・センター利用による健康増進、体力増強があるといわれており、その成果は全国的に注目され自治体や医療福祉関係者からの視察が絶えない。

先頃同施設及び東京厚生年金病院健康管理センターへ取材に訪れ計画段階から指導助言を行っている東京大学身体教育医学講座の武藤芳照教授他のスタッフに話を聞いた。

教授は、医学博士で整形外科が専門で臨床医師として勤務する東京厚生年金病院にて身体教育医学研究から生まれた転倒防止教室を主宰、医学研究とトレーニング指導を指揮している。その過程で、北御牧村のプロジェクトの指導を引き受けたと述べている。

老人は転倒の危険性が高く、一度転倒した後は寝たきり老人になる確率が高い。研究グループは予防のための運動プログラムや器具を開発し、多くの老人の参加を呼びかけてきた。

そのような地道な活動が実を結び、現在では自治体関係者から教室開催の要請が相次ぎ、NHKの視聴者参加型番組として取り上げられるなど、全国規模で行われている。

北御牧村の施設で温泉プールに入り村の人々から話を聞いた。月4000円会費を払い年間利用しているという日に焼けた老夫婦(夫婦で年10万円弱)は週1、2回利用し、サウナ、温泉浴、水泳を楽しみ、忙しい農作業の間をぬい車でやってくると言う。

近頃農村では田畑へ行くのも車を利用し、歩くことが少ないので運動不足になりがちだと話してくれた。

杖をついてプールに入場する人達も見られたが、話を聞けば神経痛やリハビリ中なので、温泉浴、水中歩行を欠かさずやっていると言う。

この複合施設は温泉診療所、ケアハウス、身体教育医学研究所からなり、近隣町村からも利用者が多いそうだ。

現在、総合型地域スポーツクラブという堅苦しい名称のクラブ方式を普及させようと行政は懸命である。一方で、地域に即した方法で健康維持増進のための活動が注目されている。

形にはめ込んだり、とらわれたりすることなく、地域の人々が自らスポーツ活動をすることが大事ではないか、と考える。

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