英国のサッカー・スーパースターであるデイビット・ベッカム選手が先週日本のスポンサー企業のため来日していた。プライベイトな日程の来日にも拘わらず、例によって大勢のファンが成田飛行場を初め彼の行く先々に大勢押し掛けたようだ。 しかし、今回の来日でちょっと気になることが起こった。 それは国内の報道関係は殆ど取材が出来たそうだが、外国メディアの取材は全くと言ってよいほど取材が許可されなかった。プライベイトの訪問であり何をしようが、何処へ行こうが、また報道陣の取材を拒否しようが勝手だが、その一つの場所に中央区立京橋築地小学校があったのは、どう考えても不自然なことだ。 というのはこの小学校は公立校であり、またベッカム選手が子供達と交流したのは通常の登校日(6月20日、金曜日)であったからだ。公立の学校を通常日に訪問し子供達と交流しておきながら、特定のメディアの取材を拒否したことは重要な問題を含んでいる、と言わざるを得ない。 子供達との交流を望んだのはベッカム自身だそうだが、これにはスポンサーの明治製菓が少なからず絡んだイベントであることは否めない。或いはこの企画をスポンサーである明治製菓が巧く利用したのかも知れない。 なぜかと言えば当日明治製菓の菓子が子供に渡されたり、報道関係者へ配ったプレスキット内にやはり明治のチョコレートが入っていたからだ。 それにしても公立校を監督する立場の中央区の大らかさに呆れて、取材の連絡をとってみた。当区の教育委員会事務局指導課の仁王氏が質問に答えて下さったが、当然のことながら訪問に関しては事前に知らされていたが、このイベントはPR会社が担当しており、取材社のことや外国メディアが取材拒否されたことなどは全く知らない、とのことであった。 ご本人も当日は現場に出向かれており、チョコレートの件はご存じであったが、「包んであり商品が露出していたわけではないので、特定の企業が絡んだイベントという認識はしておりません」と答えられた。また「ベッカムとの交流は国際理解教育の一環として行われたことである」とも仰った。 このイベントに異議申し立てをするつもりもないし、イベント自身はよい企画であったと理解している。 しかし、私は当教育委員会と学校の対処には少なからず疑問を抱く一人である。或いは我が国の教育関係機関はこんな程度と認識すべきなのだろうか。 最後に付け加えると、外国報道の取材拒否指示は英国にあるベッカムのエイジェントから出ていたものである。その理由は外国メディアに取材させて、日本の製菓会社やビューティー・サロンのようなコマーシャルを担当していると世界へ報道されると、彼のイメージが崩れてしまうことを恐れたから、だそうだ。 今回は大金を稼ぎに来ておいて、随分失礼なことではないか。 大英帝国はとっくに衰退したが、それでもプライドだけは高く、イギリス人は日本の家屋を「ラビット・ハッチ=ウサギ小屋」と侮辱した。最近はブッシュのアメリカに加担しイラク攻撃を行って国威を保とうとしている。 それにしても日本のメディアは「ベッカム様」などと馬鹿げた表現をしているわけだから、何をか言わんや、である。 |