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■vol.154(2003年7月9日発行)

【杉山 茂】 企業スポーツ再生のカギはどこに
【早瀬利之】 出しゃばりすぎるアメリカのキャディたち
【佐藤次郎】 「本物の」ファン、奮起せよ


企業スポーツ再生のカギはどこに
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

いわゆる「実業団」スポーツの草分けともいえる新日本製鉄八幡(北九州市)の野球部が、77年にわたる歴史の幕を降ろした。

“最後の舞台”は7月7日大分で行われた都市対抗野球九州地区予選だった。

創部は1926年。当時の社名は八幡製鉄所、2万人を越す従業員を抱える国内最大の工場である。その人たちのレクリエーションとして、ベースボールは、1910年代後半から盛んに愛好され、やがて、対抗試合にうって出るチーム(野球部)が生れた。

当然、所内の声援をうける、支持も得る。あらゆるスポーツの「実業団」の生い立ちは、八幡製鉄所野球部のケースとほぼ同じ、といってよい。

近年の、企業におけるスポーツ活動からの撤退は、こうした“全社的な支援”の希薄によるところが大きい。企業内のスポーツ求心力の低下だ。分析もしつくされている。

「実業団時代」は、もはや望むべくもない―そうした手詰まりなムードのなか、7月4日、東京で「企業スポーツの再生に向けた戦略」をテーマとする調査・研究の公開発表を2人の大学教授(筑波大・佐伯年詩雄、東北福祉大・成田重行)が行い、関心を集めた。

両教授とも、日本独自の展開ともいえる「企業スポーツ」は、充分に再生を期待できるとまとめた。

そのためには、スポーツ支援を、経営戦略の“資源”にとらえ、経営陣の全面理解を欠かせない、と指摘した。

私も同感だ。

これまで、多くのケースは、スポーツが経営の中央ラインに据えられることはなかった。

ウィークデイの午後にも拘らず集まった100人近い傍聴者からの質問は、この発表を実現するための手法に集中した。

日本では、まだ、スポーツがそこまで成熟していない、という自信の貧しさが裏にある。

日本のスポーツは、あまりにも、その“地位”が低すぎる。
「スポーツ度」を向上させなくては、どのようなリポートがまとめられ、熱のこもったアピールが試みられても空しい。

日本体育協会、日本オリンピック委員会をはじめとする国内のスポーツ組織は、あらゆる面から、この課題の克服に力を注ぐべきだ。

その見込みが立たなくては、企業は、スポーツに振り返ってくれない。

“再生”のカギは、スポーツ側の姿勢にあることを、改めて意識させた催しでもあった。

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出しゃばりすぎるアメリカのキャディたち
(早瀬利之/作家)

今年の全米女子オープンは、全く無名のプロ、ヒラリー・ランキ(24才)が優勝した。

アメリカツアーではまだ1勝もしていないばかりか、ランク順位は88位という新人プロだが、72ホール(4日目)で−1まで崩れ、ジェラ・スタンフォード(25)とケリー・ロビンズ(33)とのプレーオフ(18ホールストローク)に持ち込まれての初優勝だった。

ゴルフの試合は「あの1打のミスさえなければ勝てた」という後悔がつきものである。負けた者にとっては、いつも反省と後悔から、「死にたい」「試合に出たくない」という心境まで落込む。

今回の女子オープンを見て感じたのは、パットとアプローチが凄くうまいことである。どの選手もワンピン以内に寄せてくる。グリーンをはずしてもチップインを狙っている。

またオングリーンすると、どんなに長いパットでも、入れてくる。「寄せて2パット」といった消極的なゴルフではない。グリーンエッジからもパターで入れるなど、うまくなった。

昔に比べると、クラブとボールがよくなったため、守る側のゴルフ場はラフをのばしたり、池をつくったり、今回の18番グリーンの左サイドにコレクションエリアを設けたりと、難易度を高めている。

はたして、これ以上選手をいじめる方法があるだろうか、と思えるほど、選手を泣かせる設定である。そこには、コースの美しさはなかった。ただただ、怖さしかなく、ゴルフ場全体が醜いものに感じる。これはアウトドアスポーツとしてはマイナスである。

また今回、気付いたことは、キャディなのか、コーチなのか分からないほど、キャディが主役となっていたことだ。

キャディはバッグをかつぐのが本来の役目で、目立ってはいけない。同伴プレーヤーへの思いやりがなくてはならない。

アメリカキャディたちに猛反省をうながす。このままではキャディの役目を規定する必要が出てくる。

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「本物の」ファン、奮起せよ
(佐藤次郎/スポーツライター)

日本のスポーツを取り巻く、ある種のゆがみのようなものを、毎年この時期になると感じさせられる。

プロ野球・オールスターのファン投票である。

ファン投票の歴史にはおかしな出来事がつきまとっている。甲子園で人気を集めた新人が、実力不足は目に見えているのに選出されてしまう。これといった成績を残していない選手が、明らかに組織的と思われる投票で特定球団からずらりと選ばれる。

セ・リーグの場合は、成績がよかろうと悪かろうと、他にいい選手がいくらでもいようと、名の知れた巨人勢ばかりが1位を占める。そんなことが毎年のように繰り返されてきているのだ。

そして、今年はといえば、試合にも出ていない川崎憲次郎の大量得票である。いったいどうして、スポーツの世界にこんな発想が持ち込まれるのだろうか。

川崎のケースは論外だが、他の得票ランクにも疑問がないではない。大躍進の阪神勢が大量得票したのに不思議はないが、ポジションによっては、他の選手の方が1位にふさわしいと思われるところもある。

つまりは、今回も本当に実力通りの得票にはなっていないというわけだ。

ファン投票は人気投票とはちょっと違うものだと思う。

オールスターの趣旨は、どこから見てもナンバーワンの選手がチームを超えて集まるところにあるはずだ。投票で選ばれなかった実力派は、もちろん監督推薦で出場してくるのだが、ファンたるもの、それでよしとしていていいのだろうか。ある意味で、この投票はファンのレベル、見識を問われるものでもあるではないか。

ひいきチームの選手を応援したいのはわかる。話題の選手を気にかけるのもいい。ただ、オールスターの本来の趣旨を考えれば、ここは真のナンバーワン・プレーヤーに一票を投じて、熱心なファンとしての見識を披露するべきだ。それでこそ、国民的娯楽を支えるファンというものではないか。

現にパ・リーグの投票は、ほぼ妥当な結果となることが少なくない。注目度はセに比べて大幅に劣ってはいても、そのファンたちはオールスターの趣旨をきちんとわきまえている。最近は人気だけでなく、実力でもセに後れをとっているパ・リーグだが、この点だけは圧勝していると言っていい。

日本のスポーツの世界が、近年どこかゆがんで見えるのは、この例にみるように「本来の」趣旨、あるいはスポーツそのものの魅力から目がそれていることが多いからだ。

特定の競技のみが時流に乗ってもてはやされる。個人の面でいえば、派手なタレント的側面が注目されて、肝心の競技者としての実力、魅力がないがしろにされる。そんなことばかりが重なって、スポーツに向けられる視点がどんどんずれ、ゆがんでしまっているのである。

本当に野球が好きなファンたちは、ぜひ結束して、どこから見ても文句のない結果を出してみせてほしい。本来の趣旨に外れた票を駆逐してほしい。

来年こそ、本物のスポーツファンの見識と誇りを見せつけてやろうではないか。

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