チームスポーツ(ボールゲーム)が落ちこんだ低迷の沼からなかなか脱け出せない。
9月末に次々と行われたアテネ・オリンピック予選で男女のウォーターポロ、男子のバスケットボールとハンドボールが敗退、女子ハンドボールも自力では道が開けなくなっている。
同時期に開かれていた女子サッカーのワールドカップでは、日本代表がベスト8入りを逃してもいる。 このあとプロ組織を持たぬバレーボール、バスケットボール、ホッケー(いずれも男女)が、宿願をかける。日本オリンピック委員会(JOC)の揚げる「球技復活」は果たせるだろうか。ラグビーのワールドカップも気になる。
チームスポーツの低調は、日本のスポーツ界を襲った「少子化」と「企業スポーツの活動縮小」の2つの波をモロにかぶったもの、とは云いつくされている。
それは「学校」と「企業」にすがった過去の流れのツケでもある。 薄氷とまでは云わないが、極めてもろい基盤に支えられているのを知りながら、スポーツ界は、ほとんど手をつけぬままであった。
少子化−学級の減少−教員数の削除が、ジュニア層の中学・高校スポーツ界を揺さぶるのは、早くから見えていた。 企業がスポーツと縁を切るのは、今に始まったことではない。半世紀の“歴史”がある。
これまでは、消えていくチーム(選手)に新しいユニホームを持って迎え入れてくれる次の手があった。今はそれが無い。 チームスポーツは、個人系スポーツのメダリスト級を多数抱えなければ、世界に伍すことはもとより、アジアの壁を突破できない。
底辺部分と頂点部分が同時に揺らいでは、メダリスト級など、夢は遠くなるばかりだ。 大きな掛け声の新基盤「地域密着のクラブ」は、競技力、それも国際レベルは、ほとんど視野に入っていない。目的は“身近なスポーツ”の拡充なのだ。
オリンピックやワールドカップクラスの大会における競争力を、この先、日本はどのように高めていくのか、先週伝えられた結末は「復活」の難しさを感じされるばかりではないか。
打開策に「プロ化」をあげるスポーツ界関係者が少なくない。 「プロ化」。容易でないにも拘らず、だ。第一、日本のスポーツ組織の大半は「プロ」を抱えるほど成熟していない。
スポーツ界は、セ・パ両リーグは別もの、と思っていたところへJリーグの“成功”を目(ま)の当たりにした。 我々も、とプロへの道を探りながら、Jリーグヘ続く力が、いまだに生れていないのは、その1点につきよう。
チームスポーツが描くアテネ・オリンピック予選の推移は、単にその結果(勝敗)への興味だけに終わらない。日本のスポーツ界の頂点強化はどうあるべきか、重大な問いかけとなろう。
ひとにぎりの華麗な個人系スポーツの成果で、土台への視線を薄らさせてはならない―。 |