ラグビーのトップリーグが最初のシーズンを終えた(1月25日、優勝・神戸製鋼)。
各スポーツが次々と「日本リーグ」を発足させ、成熟させてきたのを横目に、このスポーツ独特の理念もあって、見送られつづけてきた事業だ。
ファン側からすれば、待望のスタートで、関係者も「内容的に70パーセントの出来」(宿沢広郎氏、日刊スポーツ)と、まずまずの評価を与えている。
焦点の1つ、集客は、早稲田、明治大学がらみのカードを代表とする「大学」の勢いには、まだ及ばない。 ラグビーは、技術的な水準、内容の濃さよりも、“伝統の力”が健在なことは、シーズン前から予想されていたが、終盤はともかく、昨秋から年末にかけてのスタンドは、先行きに不安を抱かすような状況だった。チーム数を濃縮して2回総当りする策も考えてよいのではないか。
トップリーグのチームにファンが付き、「大学」とは別の流れを生む期待がかかるが、その時、今度は「大学」側に、新たな課題が生まれる。 各スポーツとも、同じ経過をたどり、今では「大学」の火が細々としているが、ラグビーは“両者共存”の道を見つけ出し、歩んで欲しい。
このあと、クラブや社会人にまで参加枠をふくらませ22チームで争う新方式の日本選手権(2月7日〜3月21日)、トップリーグ8強によるカップ戦「マイクロソフトカップ」(2月8日〜22日)がつづく。タイトルの分散は、当分なじみにくそうだ。シーズンを通しての最高のフィナーレをどの大会がつとめるのか、いずれ検討を迫られよう。
観客のマナーも気になる。最終日の秩父宮でも、楽しさを欠く声が飛んだが、最近はラグビーに限らず、底の浅いホーム・アンド・アウェイ意識が強くなりすぎてはいないか。
どちらのチームにも肩入れせず、じっくりそのスポーツの醍醐味にひたりたいと思うファンは少なくないのだ。 トップレベルの充実を追うばかりでなく、取り囲む総てが最高であってこそ、最上位リーグであろう―。 |