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vol.188(2004年2月18日発行)
【杉山 茂】「アマチュア」の意気示すかホッケー
【辛 仁夏】大相撲韓国公演取材記
【高田実彦】スポーツ新聞のダラシナサ
【市川一夫】すっきりしないアテネ五輪マラソン代表選考
vol.187 2004年2月13日号「看板越えパフォーマンス・・・」
vol.186 2004年2月4日号「名称よりも中味・・・」
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「アマチュア」の意気示すかホッケー
(杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 ホッケーのアテネ・オリンピック世界最終予選会が近づいている。男子は3月2日からマドリード(スペイン)を会場に参加 、世界12ヶ国のうち上位6ヶ国が、女子は3月19日からオークランド(ニュージーランド)で、10カ国のうち上位4カ国が、それぞれ出場権を手にする。日本関係者の意気も盛んだ。

 4年前のシドニー・オリンピック予選の男子は大阪で行われ、日本は「あと1勝」に迫りながら、その壁を破れなかった。

 選手たちが泊まるホテルは、前夜からピリピリしたムードで、日本の役員は、チームをどうリラックスさせてよいものか、困ったような表情を並べていた。

 ホッケーは日ごろ、マスコミの目がなかなか届かず、観衆も身内の人が圧倒的に多いスポーツの代表的な存在だ。

 大一番を前に、どうしようもない昂(たか)ぶりに見舞われるのも、そうした“環境”が生み出したような気がしたものである。

 2月10日に発表されたマドリード行き、オークランド行きのメンバーを見ると、企業チーム(実業団)のオールスター色が濃いほかのチームスポーツの代表に比べ、男子には社会人クラブ勢、女子は社会人、学生メンバーも多く、文字どおり「全日本」だ。女子には2人の高校生が名を連ねている。抜擢された逸材ながらサッカー・平山相太への狂騒ぶりとはかけ離れた“世界”がそこにある。メディアがそんな世界を作ってもしまう。

 日本(男子)の前にアジアで立ちはだかりつづけたインドやパキスタンは、古くから選手が、フルタイムでホッケーに打ち込める体制を整えていた。立身の手段でもあった。挑む日本は、いつも「アマチュア」。

 驚くことに、この流れは、今回もあまり変わっていない。

 トップゾーンでは古語に等しいその枠から飛び出すこともなく、4年に一度のチャンスへ国内の愛好者のエネルギー総てを注ぎ込んで立ち向かうチームスポーツが、元気に存在するのだ。嬉しいことに、女子は悲願の初出場を視野にとらえている、という。

 3月は、サッカーの熱風だけが舞うのではない−。

大相撲韓国公演取材記
不思議な感覚に包まれたソウルでの相撲観戦
(辛 仁夏(シン イナ)/ジャーナリスト)

 大相撲が戦後初めて韓国公演を行った。14、15日の両日にソウル場所が、18日には釜山場所が開かれた。似て非なる「思考方式」を持ち、似て非なる「文化」を持つと言われる日本と韓国。二国間の歴史には、苦難と溝がまだ横たわっている。それでも、この21世紀初頭に日本古来の伝統文化である大相撲を韓国が受け入れたことは、時代の流れというのか、感慨深いものがあった。ソウルの地で、土俵が設えられ、そこでまわしをつけた力士が、韓国人の前で相撲を取ることなど、ほんの10数年前に考えられたことだろうか。
 
 日本の衛星放送が韓国にも映るようになったのは1990年頃。昔から相撲に親しんでいた70、80代の年配者たちは、密かな楽しみとしてテレビ観戦をしていたようだ。そして、今回、ソウル場所がやって来たことで、会場に集まった観客の中には、60数年ぶりに直に観戦できる喜びを表していたご高齢の方たちも大勢顔を見せた。ソウル市の崔龍根さん(75)は「日本伝統の相撲は先輩を尊敬するし、武士精神がある。過去にあったいろいろなこともあるが、昔のわだかまりのある感情を一刻も早く解消して新しい世界に入ってほしい。今日は本当に良かった」と初日が終わった感想を尋ねると、興奮ぎみに話してくれた。
 
 今回の大相撲韓国公演は昨年開催されるはずだったが、SARS(新型肺炎)などの影響で延期され、今月無事開催にこぎつけた。日韓の両政府が進める「共同未来プロジェクト」の一環として、日本古来の伝統文化で1500年の歴史を持つ大相撲が、まだまだ反日感情が残る韓国で受け入れられるのか。不安感も確かにあったし、もちろん抵抗感を持つ人もいただろうが、ソウル公演は日韓でテレビ中継(韓国ではケーブルテレビで放送)され、会場を訪れた人はシルム(韓国古来の“すもう”)とは違った相撲の面白さを肌で感じたに違いない。
 
 立会いで激しくぶつかり合い、土俵際での攻防や一瞬で決まる技や時間がかかる組み合いなど、多彩な動きに大きな歓声と拍手が会場を包んでいた。友人と観戦に来た30代の男性は「相撲は力だけでやるスポーツだと思ったが、実際みたら力だけでなく、技術もあって、伝統のある礼儀正しいスポーツ。それに訓練が必要だと思った」と感心しきりだった。
 
 今回ソウル場所が行われた市内の奨忠体育館は63年に国内最初の室内体育館として建造された築41年経っている建物で、地下鉄駅から直結していて立地条件は良かったが、大相撲イベントを華々しくやる上では少々、器としては貧弱と言えた。それでも、収容人員7725人のうち、14日の初日には6568人、千秋楽は6721人が入り、平均8割6分と大盛況だった。土俵周りのタマリ席土産付き(韓国の物価指数では破格の値段である15万ウォン=約1万5千円)は2日間とも完売で、4人マス席土産付き(4人で52万ウォン)もほぼ埋まっていた。また、2階自由席(3万ウォン)や3階自由席(1万5千ウォン)には若干の余裕は見られたが、ガラガラ空いた感じはなかった。
 
 韓国で大相撲が身近になったのは、シルムから転身した韓国出身力士、春日王(韓国名:金成澤)の活躍が大きいが、今後、相撲協会だけでなく、様々な分野で日韓のみならず、日本と朝鮮半島の文化交流が活発に行われ、「似て非なる」民族が交流を通して互いを知ることで真の友好が築かれることを、今回の取材を通じて改めて感じ、願うばかりだ。

スポーツ新聞のダラシナサ
(高田 実彦/スポーツジャーナリスト)

 スポーツ新聞のダラシナサをまざまざと見る事件があった。巨人清原の「ぶっ殺すぞ!」暴言が、みごとなまでに一般スポーツ新聞に載らなかったのだ。

 事件は巨人キャンプの休日、13日午後に起こった。宿舎の正面玄関に清原の亜希夫人(34)と正吾ちゃん(1)の乗った車が来た。そこへ乗り込もうとした清原を撮ったカメラマンに、「撮るな、どけ!」「こら!」と怒鳴り散らし、しまいには「撮るなというとるんじゃ、ぶっ殺すぞ!」とすごんだのだ。

 一般ファンもたくさんいるなかでの暴言。いくら、俗にいうキレた状態になったとしても「殺すぞ」はない。面と向かっていわれたカメラマンはたまたま女性だったが、真っ青になってガタガタ震えたという。ファンは「おっかねえ」「サインどころじゃないわ」と凍りついたという。

 これはスポーツ新聞としては、格好の一面ものであるはずだ。だが、この大ニュースはボツになった。「各社のキャップどころが横の連絡を取ったらしい。現場にいた若い記者たちは『久しぶりにサッカーから一面を奪える』と勇んでいたが、キャップから『書かなくていい』と指示されて悔しがっている。どういう政治的判断なのかわからないが、キャップクラスは完全に巨人に丸め込まれて腰が引けている。巨人取材にジャーナリズムはない」(ベテラン記者)

 スポーツ新聞がどういう判断だったかというと、「実は過去にもこの手の清原暴言はかなりあったし、カメラマンもしつこすぎたようだ。家族がいたから激高した感じもあったし」とある新聞のキャップ。

 だが、そういう自主規制が清原を増長させて、清原を「ぶっ殺すぞ!」という一般社会だったら訴訟ものの暴言を平気で吐く男にしたのではないのか。だいたい「番長」などという呼び名を「うってつけだ」と悦に入って活字化していること自体が狂っている。その結果、巨人自体の人気低迷に協力している。

 いまさら「巨人軍は紳士たれ」とか「スポーツ新聞もジャーナリズムだ」という基本理念を持ち出す気はないが、もう少しまともになってくれんか、と思う。

すっきりしないアテネ五輪マラソン代表選考
〜Qちゃん名古屋エントリーせず〜
(市川 一夫/スポーツライター)

 Qちゃんこと高橋尚子が名古屋を走らないと発表しますます混迷を深めた女子マラソン代表選考である。

 4年毎繰り返される話題だが、陸連の公式見解は多くのファンに理解され支持されているだろうか?頑なに固執するその姿を見て何故?と疑問を持つ大衆は多い。

 更なる疑問と言えば、何故四レースが選考レースに指定されているのであろうか?素人考えでは、開催時期、場所が異なれば気象条件が相当違うことは誰でも判る。ましてや気象条件が大幅に変化するのである。

 加えるに何よりもコース条件が全く違う。マラソンは気象条件(気温、湿度、日照、雨など)、コース条件により記録に大きな差が出る競技である。

 過去幾多の有力ランナーが万全の態勢でレースに臨み気象条件により実力を出し切れず涙を呑んだことは人々の記憶に残っていて、テレビ観戦するファンは『あの時はね〜!暑さに負けたね!』という会話になる。

 一発選考が実行出来ない理由を逆に推測してみた。日本ではマラソンの開催に際して新聞と系列テレビ局がスポンサーとなり実行されてきた長い歴史がある。

 メディアはスポーツ振興という大儀名分に基づき、競ってレースを企画し、その成果は競技力の向上や多くのファンを生み競技の普及に多大な貢献を果たしている。同時に共催者として部数獲得、視聴率確保、テレビ広告スポンサー獲得という事業メリットを享受しているのだ。

 特に日曜日午後の時間帯のテレビ生中継は番組スポンサーを獲得し易いこともありキー局間で熾烈な競争が行われている。

 数多あるレースのなかで4年に1回の五輪代表選考会を1つに絞ればこれらの新聞、テレビ局間で猛烈な反発が出て、収拾がつかないことは容易に想像出来る。つまりは選手が主役であり、選手のための選考会がこのような裏事情により左右されているわけだ。

 そして各社共主催レースを抱えているので選考方式に対する批判的報道、記事が書けないジレンマも現場には強く残る。

 毎回繰り返される釈明、説明はもうごめん被りたい。お茶の間の多くのファンは誰でも判りやすい一発選考レースを望んでいることを主催者や共催者、特にメディアは理解し実行して欲しい。



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