日本ハンドボールリーグ女子で、2つのチームが、対照的なシーズンの終わりかたをした(3月21日)。
どこまでも陽気にしめくくったのはクラブチームの広島メイプルレッズ。同リーグで3連覇を遂げたばかりか、今シーズンは、すでに全日本実業団選手権、静岡国体、全日本総合選手権の3大タイトルを握っていた。完勝である。
一方、山梨の強豪実業団として名をはせてきたシャトレーゼが、この大会を最後に、20年にわたるチームの歴史を閉じた。廃部の理由を、チーム関係者は「会社の判断」というだけで多くを語らない。新しい視点でのスポーツ支援活動が図られるため、ともいわれ、不況による撤退とは異なる。
企業が、バックアップするスポーツに厳しい目を向け、さまざまな評価を求める時代が、とうに来ていた。シャトレーゼが、というわけではないが、スポーツ側に、このあたりの感覚が、乏しくはないか。
峠を越した、ともいわれる企業スポーツの撤退や縮小だが、実態は、けして甘いものではない。ほとんどの日本リーグ関係者が、来シーズンもこのままのチームで行える保証は1つもないと表情を固くする。ハンドボールに限らず不安な動きは相変わらず絶えていないのだ。
広島メイプルレッズは、3年前まではイズミと名乗る実業団だった。選手はその社員、今なお快進撃の主軸として活躍する韓国代表のオリンピック金メダリストを中心に、球界をリードしていた。
それを、企業依存の体質では、将来を見通せないと、イズミを柱に、複数の企業の協賛を得て“クラブ化”に踏み切ったものである。
当初は戸惑っていた選手も「クラブの姿」を見つけ出すようになる。限られた練習時間が緊張を呼び、仕事をしながら各大会、各試合へのモチベーションを上げる術を得てきたのだ。
企業に背を向けられる前に、次の手を打ちしかも競技力を向上させることに成功したまれな例かもしれない。
シャトレーゼは、地域密着型のクラブとして日本リーグ残留を目指したが、どうやら、それも難しい。
山梨国体(87年)に向けて設立され、「会社の熱意」で、ここまで来たが、その間に、地域チームへの工夫ができなかったものか。
実業団の灯が消えるたびに、惜別の気持ちより、日本のスポーツ界にただよう無力感と空しさだけが、いつものように胸に刺さる―。 |